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***月刊(?)ウェブログ風の寸評*** 全ブログへのリンク一覧のページ ブログ【4】(2022.12〜2025.3 ) ブログ【3】(2019.12〜2022.11) ブログ【2】(2016.5〜2019.12) ブログ【1】(2005.2〜2016.4) ブログに添付した【詳細別紙】のリスト *本ページは、2025年4月以降のブログ掲載 *左端の●、▼をクリックして本文へジャンプ --------------------------------------------------------------------------------------------------- ● 2025.5 「ファジィの誕生からソフトコンピューティングへ」を読んで ▼ 2025.4 「パブロフの複合型条件づけ研究の展開」を読んで <下記 再掲> ● 2025.1 施政方針演説における財政健全化への言及(4) |
2025.5 | 「ファジィの誕生からソフトコンピューティングへ」を読んで |
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人工知能学会誌の最新号のファジィに関する解説論文について、 50年以上前の第一次AIブームの時の私の文献調査との関連で、読んでみた。 ・人工知能学会誌「人工知能 40巻3号(2025年5月)」p.269-281 特集:「AI とファジィの接点」ファジィの誕生からソフトコンピューティングへ [参考1]過去ブログ 2024.1 「ファジイ理論」を読んで [参考2]私の大学院論文輪講資料 1970.6 「学習機械について(2):Fuzzy Automata の場合」 ■内容の要約とコメント(→★) ・60年前,人間の思考や知識における「曖昧な表現」の扱いは永遠の課題だったが、 人間の思考に強い関心をもったL.A.Zadehは,1965年に「Fuzzy sets」という論文を 発表した.(被引用総数,160,962 報) ・1980年代は,国内企業は,研究開発に乗り出し,企業が開発した商品は150 件を超え、 掃除機,調理機器等,ファジィの家電製品への応用が発表された. ・ファジィは,事象が「曖昧な言葉」に属する程度を0〜1の範囲で記述するが, 確率とは異なり,主観,直観,感性に基づくので,真偽は明らかにならない. ・通常のIF-THENルールの例: 【もし,温度が90℃で,温度変化が+10℃/secならば,燃料コックをCLOSEDにせよ】 この方法での入出力特性記述には膨大な数のIF-THEN ルールが必要になるが、 ファジィ集合で以下のように表現すれば,ルール数が劇的に少なくなる. 【もし,温度が「中程度に高く」,温度変化が「急上昇している」ならば, 燃料コックを「少し閉めよ」】 →★「中程度に高く」,「急上昇している」,「少し閉めよ」に関するメンバシップ関数の 定義は簡単ではないと思われるが、実験を繰り返して調整することになるのかな。 ・本稿でのファジィの応用例は,温度,速度,重さ,力など,言葉の意味を定義する メンバシップ関数の横軸は,計測可能な量であるが、日常使用している言葉, 例えば「美しい」,「危険だ」,「切ない」などは,定量空間で定義できない. →★私の資料[参考2]の冒頭では、 『不正確に定義された概念は、人間の思考に関するもの、とりわけ、人工知能、 パターン認識、情報処理などに重要な役割を果たしている』と述べている。 →★また、その資料(1970)の「おわりに」では、 『まだ十分にfuzzy集合の概念を生かした応用とはいえない。 その点で、既成の意味の拡張ということにとらわれず、 fuzzy集合の概念だけを原点とした独自の展開が望まれる』と述べている。 →★現在の生成AIとファジィの技術との相性が気になる。 生成AIを利用してメンバシップ関数を定義するとか、 そのメンバシップ関数を活用して、生成AIの能力向上を図るとか・・・ → 【本ブログの詳細別紙】 以上 |
2025.4 | 「パブロフの複合型条件づけ研究の展開」を読んで |
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人工知能学会誌の最新号の下記の解説論文の『パブロフの複合型条件づけ』について、 50年以上前の第一次AIブームの時の私の卒業研究との関連で気になり、読んでみた。 ・「AIと神経科学の接点2025」特集: 「強化学習をめぐる動物実験心理学から神経科学研究への変遷史: パブロフの複合型条件づけ研究の展開を中心として」 人工知能 40巻2号(2025年3月)p.214-220 ・(参考)私の卒業論文(1969) 「条件反射の生体工学的解析」 ■内容の要約とコメント(→★) ・近年,実験で,複数の手掛かり(例えば光 と音)を用いた場合, 先行する条件刺激(光)に対して学習初期からドーパミン系が即座に応答した. この問題の理解には,「驚き」という概念の歴史的変遷を辿る必要がある. →★条件刺激CSの後での、予測していなかった無条件刺激USに対する「驚き」ですね。 ・1960年代の情報処理の革命期、パブロフ型条件づけは情報の予測過程と捉えられ、 強化学習理論の基礎となる条件づけモデルを構築するに至った. →★1960年代は第一次AIブームのときで、私の卒業研究(1968〜1969)では、 条件反射を学習機能とみて、そのモデル化と回路設計を試みた。 ・Pavlovの当初の関心は、大脳や神経系の生理学的な機能にあり, 『高次神経活動の客観的研究』(1923)や『大脳半球の働きについて』(1927)など, 脳や神経に関する著作がある. →★私の卒論の参考文献45件の中の【生理学、生体工学関連】23件のうち、 調査メモが残っている10件は、大脳や神経系に関するものが多い。 ・Skinnerは自発行動が環境に自発的に働きかけていく反応をオペラント反応と 名付けたが、その有用性は現代の神経科学や応用行動分析に多大な影響を与えた. →★私の卒論で、道具的条件付けとして『スキナー箱』に言及しているが、 『古典的条件反射も道具的条件付けも学習過程の本質は同じ』と結論付けている。 ・その後,知的活動をアルゴリズムや情報処理という枠組みで捉える見方が広がった. 内部表象や認知プロセスなど,脳内の情報処理過程を扱うパラダイムが台頭した. →★私の卒業研究「条件反射の生体工学的解析」(1968〜1969)は、この流れに対応する。 (参考)学会発表 「条件反射における学習機能に注目した回路モデル」 電子通信学会全国大会、242(1969). ・Rescorla-Wagnerモデル(1972年)は,「驚き」仮説を数理モデルとして定式化した. MackintoshはCS(条件刺激)側の「注意」に焦点を当てたモデルを提案した. →★CSへの注意とUSへの驚きが両者の条件付けの必須条件なので、当然の視点と思う。 ・この歴史的経緯と新展開から,動物学習心理学・行動神経科学と強化学習理論の 相互作用が,脳と行動,そして人工知能の理解を深めるうえで重要になってくる. → 【本ブログの詳細別紙】 以上 |
2025.1 | 施政方針演説における財政健全化への言及(4) |
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1,000兆円を超える国の借金が気になるので、今回も首相の施政方針演説を調べてみた. ・石破首相の施政方針演説(2025.1.24) → 全文 財政健全化については、「経済・財政・社会保障」の章の「(財政の健全化)」の項で 以下のように述べている。 『「経済あっての財政」の考え方の下、成長率の引上げに重点を置いた政策運営を行う とともに、歳出・歳入両面の改革を継続し、引き続き財政健全化を目指します。 金利のある世界となる中、大災害や有事に備えた財政余力を確保する観点も踏まえ、 経済・財政新生計画の枠組みの下、今年の骨太方針において、 早期のプライマリーバランス黒字化実現を含め、 今後の財政健全化に向けた取組を示します』 →★最初に「経済あっての財政」と述べており、従来と同じ。 財政健全化という表現が、見出しも含めて3回使われているが、具体性はない。 →★6年前からの「2025年度のプライマリーバランス黒字化」が未達成に終わったが、 その理由の説明がない。 (参考) 6年前の2019.1の首相の施政方針演説に次の目標が宣言されていた: 『社会保障改革と同時に、その負担を次の世代へと先送りすることのないよう、 2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進めます』 (参考:過去のもの) ・岸田首相の施政方針演説(2024.1.30) → 全文 →★関連ブログ <財政への言及部分:「四 経済」の(経済財政運営)の項> 『経済あっての財政であり、まず、経済を立て直し、そして、財政健全化を着実に進めます』 ・岸田首相の施政方針演説(2023.1.23) → 全文 →★関連ブログ <財政への言及部分:「四 新しい資本主義」の「物価高対策」の項> 『経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組みます』 ・岸田首相の施政方針演説(2022.1.17) → 全文 →★関連ブログ <財政への言及部分:(経済再生)の項> 『経済あっての財政です。経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組みます』 ・菅首相の施政方針演説(2021.1.18) → 全文 <財政への言及部分:(社会保障改革)の項> 『経済あっての財政との考え方の下、当面は感染症対策に全力を尽くし、 経済再生に取り組むとともに、今後も改革を進めます』 ・安倍首相の施政方針演説(2019.1.28) → 全文 <財政への言及部分:(全世代型社会保障)の項> 『こうした社会保障改革と同時に、その負担を次の世代へと先送りすることのないよう、 二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進めます』 以上 |