News2olds:知新 → 温故

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 2022.8 「AI判断の根拠を説明するXAI」を読んで
 2022.7 『人工知能と言語』を読んで
 2022.7 借金大国で進むインフレ
 2022.6 感染症の患者情報管理システムを再開発

 2022.5 人材確保のための初任給の引き上げ
 2022.5 世界初のプログラマー、伯爵夫人エイダ・ラブレス
 2022.4 リモート職場で、雑談にチャットを利用
 2022.4 デジタル庁 発足7カ月の問題点

 2022.3 プログラミング能力と給料は無関係?
 2022.2 (続)みずほ銀行の業務改善とシステム障害の続発について
 2022.2 (続)施政方針演説における財政健全化への言及
 2022.2 ボーイング737MAXの事故原因

 2022.1 アジャイル開発における偽装請負について
 2022.1 みずほ銀行の業務改善とシステム障害の続発について
 2022.1 施政方針演説における財政健全化への言及
 2022.1 脳の神経細胞における力学的情報伝達の発見

 2021.12 繰り返される政府開発システムの問題点
 2021.12 金融機関のシステム障害の38%はソフトウェアが原因
 2021.12 金融庁の某銀行・業務改善命令について
 2021.11 『コンピューティング史の流れに見る「人工知能」という研究分野』を読んで
 2021.10 ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」について

 2021.8 オリパラアプリ発注プロセスの検証報告書
 2021.7 「接触確認アプリCOCOA からの教訓」を読んで
 2021.7 「思考の外在的行為化の場としての仮想空間」を読んで
 2021.6 オリパラアプリの予算を約73億円から38.5億円に減額

 2021.6 地方公共団体情報システムの標準化
 2021.4 接触確認アプリ「COCOA」の不具合の報告書を読んで
 2021.4 デカルトのコギト・エルゴ・スムについて
 2021.3 みすほ銀行のシステム障害は単純なプログラムミス

 2021.2 「クラブハウス」は「仮想サロン」と類似
 2021.2 新型コロナ接触確認アプリの不具合を4カ月放置
 2021.1 デジタルディバイド対応は20年近く前の政策だった
 2021.1 ワンストップサービスは20年前の政策だった

 2020.12 「HER-SYSはなにが問題だったか」を読んで
 2020.12 患者急増で、感染者データ集約システムへの入力が遅延
 2020.12  政治資金関係オンラインシステムが利用されず

 2020.11 「脳科学からプログラミング教育を考える」を読んで
 2020.10  東証事故の原因は設定値ミスとテスト漏れ
 2020.10 15年前の悪夢:パスポート電子申請システム再び
 2020.9  感染者情報管理の新システムの問題点とは

 2020.8 品質よりも納期を優先した国のシステムとは
 2020.7 「特別定額給付金─何が問題か,今後どう改善すべきか」を読んで
 2020.7 「国や地方の情報システムが個々ばらばら」との指摘は遅すぎ
 2020.6 マイナンバーによるオンライン申請の失敗の原因は?

 2020.5 二重払いの銀行振り込みの後処理について
 2020.5 「新実存主義」を読んで
 2020.3 「人工知能の今:画像認識」を読んで
 2020.1 善の研究とα=ω

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2022.8
「AI判断の根拠を説明するXAI」を読んで


 情報処理学会誌の最新号(2022.8)に掲載されていた下記の解説に興味を持った。
  「特集:AI判断の根拠を説明するXAIを使いこなす」、情報処理,63(8)
 本特集では、6編の解説が掲載されているが、まず、最初の2編を読んでみた。
 (1)説明可能 AI(XAI)とは? 〜深層学習の説明性向上とXAIの今後の展望〜、e1-e7
 (2)産業利用における説明可能AIの使いどころ、e8-e13
 
 ■解説(1)の内容の要約とコメント(→★)
 
 ・深層学習は、精度は高いが、処理内容が理解困難のため、説明性が低い
 
 →★深層学習の方式では、学習結果(ニューロン間の結合度)が論理的ではないので、
   処理内容(入力→出力)の説明要求には無理があるのでは?
 
 ・内閣府の「人間中心のAI社会原則検討会議」では、AI利用において、
  「公平性、説明責任及び透明性の原則」を挙げている。
  特に、自動運転の人検知処理や医学的な診断・治療支援では必要。
 
 ・例1:深層回路は、前半で入力から特徴量を抽出し、後半で最終判断するので、
  中間層の信号を特徴量とみなし、2〜3次元の図で理解しやすく可視化する。
 
 →★中間層の各ノードが示す具体的な特徴を表現する必要あり。
 
 ・例2:特定の出力信号に対する入力信号の影響度を数値や色で表示する手法が、
  画像認識や自然言語処理でよく用いられる。
 
 →★この手法では、出力層から入力層へのバックトレースが必要と思われるが、
   影響度の計算方法が、詳細不明。
  
 ・例3:機械学習によるクラス分類の特徴空間の境界面は複雑な多次元曲面になるため、
  対象事例の近傍を局所的に線形分離し、その識別面を判断根拠として提示する。
 
 →★第1次AIブームで、線形分離可能なものを扱うパーセプトロン(1969)があった。
   私の修士論文(1971)で引用している。
   (関連の過去エッセイ) ▼2016.3 「Marvin Minsky の逝去を悼む」
   
 ・多数の事例を入力するだけの事例に基づく学習IBLから脱却し、
  少数の事例を用いた説明に基づく学習EBLへの質的変換が期待される。
 
       →  ★詳細別紙
 
 ■解説(2)の内容の要約とコメント(→★)
 
 ・AIの説明性の課題が解決されてはいない。要件に応じた技術選定の方法論が必要。
 
 →★そもそも説明要求には無理があるのでは?(ないものねだり?)
   通常のアプリケーションプログラムでも、バグがない保証はしていない。
   開発側のシステムテストや発注側の受け入れテスト実施後に実用化されている。
   
 ・AIの説明方式に関連するAIモデルには、2種類あり:
  *ホワイトボックスモデル:説明力は強いが、精度は劣る(決定木モデルなど)
  *ブラックボックスモデル:説明力は弱いが、精度あり(深層学習など)
 ・画像データでは、画像のどの領域に判断根拠があるかを示す局所的説明を用いる。
 ・画像データに相性の良い深層学習では、その内部構造を活用した手法が用いられる。
 
 →★画像では、判断根拠として、画像の一部分の領域を提示するようだが、
   多層のニューラルネットの出力層から入力層への逆トレースができるということ?
 
 ・AIシステムの関係者の誰に対する説明かに応じて技術選定すべき。
  AI実装者  :AIの振る舞いがわかれば、モデル改善のヒントになる。
  AI開発責任者:説明性要求の度合いに応じた技術の使用を検討。
  業務担当者(有識者) :十分な知識や経験があれば、端的な説明で十分。
  業務担当者(非有識者):新規配属の担当者には、別の方式が必要。
  エンドユーザ:特徴量を適切な単位でまとめて可読性を増し、納得感を醸成する。
 
 →★融資審査AIを例にした説明が詳しいが、XAIの例として適切かは疑問。
   この分野は、十分な量の専門家のノウハウが存在すると思うので、
   第2次AIブームのときの知識工学(エキスパートシステム)でいいのでは?
 
      →  ★詳細別紙
 
 (参考:関連する過去ブログ)
   ▼2019.1  「AIシステム検証へのニューロンカバレッジの有用性について」
  
 以上


2022.7
『人工知能と言語』を読んで


 人工知能学会誌の最新号に掲載されていた下記の解説に興味を持った。
  ・レクチャーシリーズ:「AI 哲学マップ」〔第9回〕
   「人工知能と言語」 人工知能学会誌、Vol.37、No.4,pp.516-529 (2022/7)
 
 ■記事内容の要約とコメント(→★)
 
 ・AIにおいて、知能の本質の定義が困難で、動作原理もわかっていない
  核になるものが必要ということで、今回、哲学を取り上げた。
 
 ・情報記号論は、哲学プロジェクトと考える。
  ↓設計図を描いたのはデカルトの世代で、根本原理は17世紀に考えられていた
  ↓20世紀のコンピュータは、デカルト以来の哲学プロジェクトが実現したもの
  これを基本に、コンピュータ文明を理解するのが王道で、人工知能も同様。
  
 →★AIの出発点をデカルトとしたことに同意。私のAI研究の出発点は、
   第一次AIブームのときの卒論「条件反射の生体工学的解析」(1969年)で、
   序文の冒頭で、次のようにデカルトを引用している! →  引用元
 
 『我々、人間の肉体に似ていて、道徳的にも可能な限り、我々の行為をまねる機械がある
  としても、我々はやはりこれらの機械が、だからといって真の人間ではないことを
  認識する二つの極めて確かな方法を持っている。(1637 デカルト)
 
 ・人工知能とは何かと問われると、そもそも人間とは、という話になる。
  人間は、直立二足歩行によって生み出されたサイボーグだ。
  ある人類学者の著書「身ぶりと言葉」(1964,邦訳)での説明:
   ↓人間は直立二足歩行により、手が発明され、脳が発達し、顔ができた
   ↓頭蓋が丸くなり、脳が極大化し、言葉と手を駆動させる中枢が発達した
   ↓身振りが可能になり、言葉が可能になり、シンボリックな活動が発達した
   ↓それにより、人は環境をつくることができるようになった
   ↓道具を持つことができ、それを使うことで人間の技術世界ができた。
 
 →★上述した私の卒論(1969年)では、手と言語と能の関係について、
   序文で、次のようにエンゲルスを引用している! →   引用元
 
 『手と言語器官と脳の協同作業によって、各人にあってのみならず、社会の中でも、
  人間はますます複雑になっていく諸作業を遂行し、いよいよ高い諸々の目標を
  自らに課し、かつそれを達成することができるようになった。(1876 エンゲルス)』
 
 ・人間は、自分の脳の活動を外に外在化することで人間になったので、
  人間にとって、環境は、脳の一部であり、身体と環境は合体している
 
 ・人間は生まれつきサイボーグであることを理解するため、
  ハイデガーのDasein(現存在)の構造を説明する。(図4)
   *人間は「世界-内-存在」という在り方をしていて、
   *図の真ん中にあなたがいて、
   *手元に「道具」があり、
   *隣には「共存在」という別の人がいる。
   *さらに、「ひと」という大衆という在り方をしている次元もある。
 これが一世紀前の見取り図だった。
 
 ・今では、
   *共存在は、ロボットになり、
   *道具は、IT化してスマートフォン、コンピュータになり、
   *大衆としての人は、ソーシャルネットで組織化されて存在する。
 
 →★確かにわかりやすい。
 
 ・「人間+マシン」がデフォルトの「人間」の時代に、
  「人間+マシン」という現実の社会的文化的評価がどのように安定するか。
 
 →★そのことについて、
   「人間」に決定権があるのか、あるいは
   「人間+マシン」の中で決まった安定状態を「人間」は受け入れるのか、あるいは、
   「人間」が納得できる安定状態を求めて永遠に揺れ動くのか、興味(心配)は尽きない。
 
      →   ★詳細別紙
 


2022.7
借金大国で進むインフレ


 2022.7.5朝日の記事 『進むインフレ「事実上の放置」 』では、
 気になっていた国の借金について、厚労省のOBが語っている。
 
 ■記事内容とコメント(→★)
 ・「円安」が加速し、モノやサービスが値上がりする「インフレ」が進んでいる。
 ・すでに日本は、世界一の借金大国で、コロナ対策の80兆円を超える金額も借金。
 
 →★5/10の財務省の発表では、
   国の長期債務残高が3月末時点で1017兆1072億円になった。(20年間で倍増)
   国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」は1241兆3074億円。
   4/1時点の人口推計(1億2519万人)で計算すると、国民1人当たり991万円の借金。
 
 ・平時から借金頼みの財政で、緊急時の思い切った政策がとれない。
 ・日本銀行は、国債を買い支えることで、金利を抑えている。
  金利の1%上昇で、2025年度の国債の元利払いが3兆7千億円増加する。
  
 →★6/20時点の短期国債を除く国債発行残高1021.1兆円の50.4%を日銀が保有。
 
 ・「国の借金は気にすることはない。インフレが起きたら、税金を上げ、歳出を削り、
  通貨を回収して、物価上昇を抑えればいい」と考える政治家や学者がいたが、
  インフレ時に社会保障費の削減はできず、不景気の時に増税はできず、
  借金で金利も上げられず、日本は「進退きわまっている」状況。
 
 →★今回の選挙でも、財政健全化を重要視する候補者は見当たらなかった。
   各党の財政健全化へのシナリオは不明。
  【関連する過去ブログ】
    2022.1  施政方針演説における財政健全化への言及
 
 ・国の財政が厳しいと、政策判断が近視眼的になり、長期的な人材への投資や、
  教育などへの資源配分ができなくなる。
 ・インフレ対策として、歳出を膨らますと結果的に事態を悪化させる。
 
 →★この記事の取材先の大学教授は、1980年から2020年まで厚生省/厚労省に勤務。
   やはり、本省の役人には問題点がしっかり見えていたようだ。
 
 →★2022.7.12の朝日の記事: 「参院新勢力、読み解くと」によると、
   今回の参議院選挙の当選者と非改選議員を対象に実施した調査・分析の中に、
   「財政赤字」に関する以下の結果があった。
    *「心配する必要はない」が2019年の16%から、26%に上昇した。
    *「危機的水準なので、国債発行を抑制すべきだ」は、48%から26%に減少。

 
 →★もはや、財政健全化を政府・国会に任せてはおけない。
   憲法改正により、財政条項に、国の借金の上限を明記すべきと思われる。
 
      →   ★詳細別紙
 


2022.6
感染症の患者情報管理システムを再開発


 2022.6.21のNHKの記事
  「患者情報を把握する新システム導入へ 次の感染症に備え 厚労省」 によると、
 厚労省は、新型コロナの患者情報を把握する現行システムHER-SYSにかえて、
 今年10月から新たなシステムを導入する方針を固めたとのこと。
 
 ■記事内容とコメント(→★)
 ・HER-SYSシステムは、当初、患者1人に120項目を手入力する必要があり、
  医療機関や保健所では、入力が滞り、感染状況の把握の遅れを招いた。
 ・感染の拡大後にシステムを導入したため十分に機能しなかったので、
  厚労省は、次の感染症に向けた新たなシステムを開発し、
  今年10月から全国の自治体などに導入する方針を固めた。
 
 →★厚労省は、HER-SYS失敗の理由を導入時期の問題としているが、
   実際は、利用者視点の欠如した要求定義が原因と思う。
 →★現行システムの改良ではなく、新システムを開発する理由が不明。
 
 ・HER-SYSは、新型コロナの感染者の情報を一元的に管理するためのシステムで、
  厚労省がおよそ2か月かけて開発し、2020.5から全国で導入を進めた。
  
 →★2カ月という短期開発のため、要求定義段階で機能を絞り込み、
   稼働後に容易に機能拡張可能なプログラム構造にしておくべきだった。
   プロジェクト管理に関し、まともなプロジェクト管理者が不在だったと推測する。
 
 ・HER-SYS導入の当初は、入力の漏れや間違いが多く、東京の北区保健所では、
  職員がファックスの発生届をもとに修正したり、改めて患者から聞き取り、
  120項目の入力に1人分で30分ほどかかるため、
  患者の健康観察や入院調整の業務と並行して行う負担が大きかった。
 
  →★要求分析、要求定義をどのように実施したのか、極めて疑問といえる。
 
 ・国の研究班は、新型インフルエンザなど過去の感染症の教訓を踏まえ、
  2013年から「症例情報迅速集積システムFFHS」の開発を進めていた
 ・現場の負担を最小限にしつつ、必要な情報を正確かつ効率的に集めるために、
  ファックスでの発生届の手書き文字をOCR技術で読み取り、自動登録し、
  必要な感染者の情報については自治体と議論を重ねて、18項目とし、
  パンデミックの発生を想定した演習を、毎年、複数の自治体と行ってきた
 ・研究班は、2020.2に、厚生労働省から新型コロナ向けにシステム改修の指示を
  メールで受けたが、それ以降、連絡はなかった

 
  →★厚労省の意思決定プロセスが機能していない懸念あり。
    もしかして、縦割り行政の弊害か?
 
      →   ★詳細別紙
 
【過去のHER-SYS関連のブログ】
 ・2020.12: 「HER-SYSはなにが問題だったか」を読んで
 ・2020.12: 患者急増で、感染者データ集約システムへの入力が遅延
 ・2020.9: 感染者情報管理の新システムの問題点とは
 
 以上
 


2022.5
人材確保のための初任給の引き上げ


 最近、学卒の初任給の引き上げに関して、2件の朝日の記事が目についた。
 初任給の格差について、5件の過去ブログでも取り上げている。
 
 ・2022.4.26 「初任給、引き上げ相次ぐ ゼネコンや小売り、1万円アップも」
 ・2022.5.2 「(ニッポンの給料)ほしい人材確保へ、初任給で勝負」
 
 ■2件の記事の要約・抜粋
 【2022.4.26の記事】
 ・新入社員の初任給を引き上げる企業が相次いでいる。
 ・建設大手の某社は、1万円上げ、大卒は25万円、院卒は27万円
 ・空調大手の某社は、7年ぶりに1万円引き上げて、大卒は23.5万円
 ・コロナ禍で逆風の小売業でも、某百貨店は、1万円引き上げて22.2万円
 ・ある調査では、初任給引き上げは、企業の21.8%が実施、22.7%が実施予定
 
 【2022.5.2の記事】
 ・新卒者採用の「売り手市場」が強まり、企業の知恵くらべが始まっている
 ・大幅に増額し、士気も品質もアップ狙う会社あり
 ・賞与を抑えて月給に上乗せ重視の会社あり
 ・同期に特別待遇枠導入の会社、技能や価値で判断の会社あり。
 
 [記事内のコラム「厚遇する動きは一部 公平性の課題も」(調査会社)]
 ・初任給の伸びは、この20年で、1.1万円だった。
 ・2021年は、引き上げた企業は3割弱で、企業の二極化が進んだ
 ・大企業は労働組合と合意した賃金制度があり、特別待遇制度は採用しにくい
  通常の採用でキャリアを積み上げていく者がいて、公平性の面で課題がある
 ・教育制度が欧米と異なり、初任給に差をつける動きが一気には広まらない
 
 ■記事内容へのコメント
 ・「公平性」については、多様な視点があり、定義は難しい。
  *新卒は横並びが公平か、能力差を給料差に反映するのが公平か?
  *担当業務を自分で選べない場合、業績への貢献度による給料差は公平か?
 ・私の経験では、上司による勤務評価の透明性確保や数値化は難しい
 
 【関連する過去ブログ】
 
 ・2022.3 「プログラミング能力と給料は無関係?」
   →★請負仕事ではないので、中長期的なキャリアアップが重要。
 
 ・2019.6 「(続)初任給に格差 → 優秀なIT・AI人材の確保」
   →★「優秀な情報処理技術者の高収入は保証される」時代の到来か!
 
 ・2007.7 「(続々)初任給に格差 → イノベーション」
 ・2006.5 「(続)初任給にスキルによる給与格差 → 大学改革」
   →★情報系の学生の向学心に火が付けば、大学の授業がおもしろくなる!
   
 ・2006.1 「初任給にスキルによる給与格差」
   →★情報系の学生の向学心にも火が付くかも。
 
      →   ★詳細別紙
 


2022.5
世界初のプログラマー、伯爵夫人エイダ・ラブレス


 2022.4.27の日経の記事: 『世界初のプログラマー、伯爵夫人エイダ・ラブレス』では、
 彼女の生涯が詳しく記載されている。私も著書やブログの中で取り上げてきたので、
 興味があり、読んでみた。
 
 ■記事内容の要約とコメント(→★)
 ・1815年に、彼女は、ビクトリア朝の英国上流社会に生まれた
 ・父親は、バイロン卿として世に知られる詩人だった
 ・母親のアナベラは、数学への愛を娘に伝え、有名な数学者を家庭教師とした
 
 ・1833年、17歳のとき、英国の数学者チャールズ・バベッジの家を訪ねて、
  自動的に数式を解く「階差機関(Difference Engine)」と呼ぶ機械を見たとき、
  彼女はすぐにそのしくみを理解した。
 
 ・1834年、バベッジは、解析した結果を、続けてほかの数式の計算に利用できる
  「解析機関(Analytical Engine)」のアイディアを彼女に説明した。
  この機械は単なる「計算機」ではなく、「コンピュータ」だった。
 
 →★1999年に、私がロンドンの科学博物館を訪問した時に,
   バベッジの「世界初のコンピュータ」コーナーがあった。
   (以下の過去ブログ・エッセイ参照)
   ・2015.11 「番外編:女性プログラマの元祖 Ada Lovelace 生誕200年」
   ・2015.11 「Ada Lovelace 関連の思い出」 
 
 ・1835年に、英国貴族と結婚し、ラブレス伯爵夫人の称号が与えられた。
 ・1842年、イタリアの数学者がこの機械に関する論文を発表すると、
  彼女は、それを英訳したが、翻訳した論文の2倍の長さの訳注を付加し、
  論文よりもはるかに詳細に、仮説の機械のしくみが説明されていた。
 
 →★拙著  「ソフトウェア工学(第3版)」(朝倉書店2014発行)の
   2.1節「ソフトウェア工学の誕生」からの引用
 『コンピュータの歴史を振り返ると,・・・1834年のイギリスの
  バベッジの解析機関の発明に始まる,計算手順の自動化の流れである.・・・』
 
 ・その訳注の中で、数学の「ベルヌーイ数」を解析機関に計算させるために、
  最初のコンピュータプログラムを書いた
 ・1852年、彼女はがんで36歳の若さでこの世を去った。
 ・1979年に、彼女の名前「エイダ」と名づけられたプログラミング言語は、
  世界中の交通機関や軍事システムで使われている。
 
 →★このプログラミング言語Adaについては、
   拙著  「ソフトウェア危機とプログラミングパラダイム」(1992年 啓学出版)
   の5.4.3項「Adaの例」で詳しく紹介している。
 (拙著から抜粋)
 『Adaは、米国国防総省(DoD : Department of Defence)が米国の組み込み型
  コンピュータシステム(embedded computer system)に代表される制御用
  リアルタイムシステムのための高水準プログラミング言語として開発したものである。
   <中略>
  余談になるが、Adaという名前は、英国の詩人Byronの娘のAugusta Adaの名前に
  由来している。彼女は、計算手順の自動化をもたらしたC. Babbageの協力者で、
  女性プログラマの元祖ともいわれる

 
       →  ★詳細別紙
 


2022.4
リモート職場で、雑談にチャットを利用


 2022.4.10の朝日の記事:
  『コミュニケーション新時代:1 職場で、気軽にリモート「雑談」 』
 によると、テレワークでの同僚とのコミュニケーション不足の解消のために、
 業務だけでなく、「雑談」にもチャットが利用され始めているらしい。
  当方は、26年前に、同じコンセプトで『仮想サロン』(雑談アプレット)を開発し、
 利用した経験があり、懐古趣味的にコメントする。
 
 ■記事内容(関連部分の抜粋とコメント(→★)
 ・コロナ下のテレワークでは、同僚とのコミュニケーション不足が悩みで、
  気軽に「雑談」ができるサービスを提供する企業がある
 ・ネット上の仮想空間「メタバース」が新人の交流の場に利用され、
  自分のアバター(分身)を移動して、近くの同僚と会話できる
 ・利用の多いビジネスチャットslackは、雑談専用チャンネルを設定し、
  新入社員の悩み相談に先輩がアドバイスできる
 ・某社の3月販売の仮想オフィスサービスは、顔写真に雑談的なコメントを表示でき、
  社内の実証実験で、テレワーク時の社員の8割が、孤独の改善効果を認めた
 
 →★この仮想オフィスサービスは、トップ画面に顔写真を表示して、
   会話のきっかけにしている点で、我々の仮想サロンと似ている。
   <関連する過去の2件のブログ>
    *2021.2: 「クラブハウス」は「仮想サロン」と類似
    *2019.9: 職場でのチャットの利用が増えている
   (注)我々の「仮想サロン」の詳細は、このブログの中で紹介している。
 
 ・オンライン上では、指示や承認などのやりとりだけになりがちだが、
  相手に関心があることを雑談などで伝えていくことが求められている
 
 →★我々の「仮想サロン」の要求メモ(1995.11)で開発目的を明記
  (参考) 「V-Saloon(ゼミ室実用版)メモ(「仮想サロン、雑談アプレット」)」
 
      →  ★詳細別紙
 
 以上


2022.4
デジタル庁 発足7カ月の問題点


 4/2の朝日の記事  「デジタル庁、薄い影 司令塔役、うまく機能せず 発足7カ月」
  によると、問題山積のようだ。昨年12月の重点計画も含めて、コメントしたい。
 
 ■記事内容とコメント(→★)
 ・中央省庁の「縦割り打破」の象徴として始動したデジタル庁は、
  発足から7カ月を迎え、「司令塔」としての役割は果たせていない。
  12月に策定した重点計画は、これまでの施策の延長線上にすぎない。
 
 →★「これまでの施策」とは、廃止になったIT総合戦略本部のことか。
   2001年のe-Japan戦略から毎年のように重点計画を発表してきたので、
   デジタル庁は、過去20年間の総括をしておくべきと思う。
   何を目標とし、何が実現し、何が未解決で、なぜ実現しなかったのか。

   
 →★関連する過去のブログ:
   *2021.1: デジタルディバイド対応は20年近く前の政策だった 
   *2021.1: ワンストップサービスは20年前の政策だった
 
 →★過去の総括をベースに、昨年12月の重点計画を説明すべき (参考:「重点計画」
 
 ・経済産業省は、1月に「デジタル日本改造ロードマップ」と銘打った
  社会インフラのデジタル化の工程表を策定する方針を明らかにした。
 
 →★経産省がデジタル庁とデジタル化の計画を競っているらしい (参考:経産相発言
   省益優先の体質は変わらず、1990年代以降の「失われた**年」は続く。
 
 ・民間人材の採用による「官民融合」も、壁にぶつかっている。
  根回しが多く、政策の意思決定が遅いのは、民間出身者には理解不能らしい。
 
 →★官僚的な仕事の打破による迅速な意思決定は、トップの仕事では。
 
      →  ★詳細別紙
 
 以上


2022.3
プログラミング能力と給料は無関係?


 3/16の日経の記事「職場のトラブル相談室」:
  『プログラミングが大好きな若手SE、2倍製造しても同僚の給与のほうが高い』
 という入社2年目のSEの悩みと回答があり、IT企業でのソフトウェア研究開発の
 経験とその後の大学でのソフトウェア工学の研究者の観点で読んでみた。
 
 ■相談内容 
 ・大手IT企業のSE。入社2年目で、今はプログラム製造が主な仕事
 ・私のプログラム製造が速いので、上司はよく追加作業を頼んでくる
 ・先月、私が2倍製造したのに、残業の多い同僚のほうが給与は多い
 
 ■回答の要約とコメント(→★) 
 ・入社2年目では基本給は同じで、残業の多い同僚の支給額は増える。
 ・質問者の会社は、若い頃にプログラム製造を経験後、設計が主体となり、
  プログラム製造は外部への請負発注が多い。
 
 →★企業の給与計算は、基本給と残業時間がベースなので、
   入社2〜3年は、個人差を給与に反映する制度ではない。
  
 ・経営者側でも、プログラム製造の生産性が低い社員は経営者の悩みである。
 
 →★下記の拙著では、「2.3節 ソフトウェア生産技術の基本」の中で、
   『開発者の能力差は3.5倍以上』と述べているが、
   通常の業務と同じ給与体系では、優秀な技術者の評価に限界がある。
    *拙著 「ソフトウェア工学(第3版)」(朝倉書店)
  
 ・労働基準法などがあり、残業時間が長いと残業手当が多いのはやむを得ない。
 ・キャリアパスを経なければ昇格できない(給与が上がらない)
 
 →★学生には、キャリアパスの重要性を伝えてきた:
   *30歳位の先輩の中から目標にすべき人を見つけて努力すべき。
   *一般に上流工程の担当やプロジェクト管理者の給料が高い。
 
 ・SE職では、管理職登用コースのほかに専門職制度を持つIT企業がある。
 ・「プログラム製造のほうがずっと好きだ」と思うなら転職も考えられる。
 
 →★基本ソフトの分野は、高度に専門的な知識が必要なので、専門職もあり得る。
   企画力・設計力とプログラミング力の兼備が一つの理想。
   プログラミング力だけなら、下請け仕事になり、高給は難しい 
 
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 以上


2022.2
(続)みずほ銀行の業務改善とシステム障害の続発について


 2/14の日経記事 「みずほ銀行で年末年始に2度のシステム障害、原因は設定ミス」によると
 年末のシステム障害は、初歩的な設定ミスだった。
 
 先月のブログ 「みずほ銀行の業務改善とシステム障害の続発について」では、
 テストの不十分性を指摘していたので、この設定ミスについて考察する。
 
 ■記事の要約(1ページ目のみ)
 ・みずほ銀行は、昨年末の最終営業日(12/30)に、銀行間送金を担う全銀システムへの
  送信エラーが発生し、15時半から約1時間、他行宛て振り込みができなくなった。
 
 ・全銀システムは、平日の8時半から15時半までは「コアタイムシステム」、
  それ以外の時間帯は「モアタイムシステム」が取引を処理するので、
  みずほ銀行は、取引処理依頼の時刻によって、送付先を選択する必要があった。
 ・なお、年末営業日を除く月末営業日は、取引が膨らむため、コアタイムの運用時間を
  前後それぞれ1時間延長し、7時半から16時半までとしている。
 
 ・今回の障害は、年末営業日を通常の月末営業日と勘違いして
  コアタイムからモアタイムへの切り替え時間を1時間遅く設定したために、
  15時半から約1時間、全銀システムへの送信エラーが発生した

 
 ■コメント
 ・要求仕様は単純だが、システム設計としては、いろいろな方法が考えられる。
  今回のみずほ銀行のシステムでは、切り替え時間の設定方法が不明のため、
  設計ミスか、運用ミスかも不明。
 
 ・切り替え時間を含めて、すべてプログラムで処理する設計の場合は、
  単純な設計ミスか、プログラムミスと考えられる。この場合は、
  ミスの検出のためのテスト項目に漏れがあったことになる。
 
 ・一方、全銀システムの運用時間帯が将来変更になることを想定していた場合は、
  具体的な運用時間帯を、運用時に入力指定する方式と考えられるので、
  単純な入力ミスと考えられる。この場合は、設定手順を記載した
  運用マニュアルの不備が考えられる。
 
 ・いずれにせよ、記事にも記載されている「初歩的な設定ミス」のそしりをまぬがれない。
 
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 以上


2022.2
(続)施政方針演説における財政健全化への言及


 2022.2.9の産経記事: 『自民若手が積極財政議連 参院選後にらみ規律派牽制』によると、
 安倍元首相は、2025度プライマリーバランス黒字化目標に反対したが、
 この目標は、安倍首相自身が、2019年1月の施政演説で述べていたことを、
 先月の以下のブログで引用したばかりなので驚いた。
 
 ・2022.1のブログ 「施政方針演説における財政健全化への言及」
  バブルがはじけて以降の30年間、<経済再生→税収増→借金返済>という論法で、
  借金は、約200兆円から1,000兆円に増加したと述べた。
 
 ■記事内容
 ・自民党の若手国会議員でつくる「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の
  2/9の設立総会の招待講演で、安倍元首相は、2025年度黒字化目標に反対した
 ・設立趣意書には「現下の日本経済において財政赤字を恐れず、積極的な財政政策が
  必要であるとの認識を共有し、真に必要な政策への転換を図る」と明記
 ・岸田首相は、財政再建を重視する考えを持ち、就任前の著書「岸田ビジョン」で
  「『財政健全化』に向かっているということを、内外に示しつづける必要がある」と記載。
  現在は新型コロナウイルス対策を優先し、財政再建論は封印している。
 
 ■コメント
 ・「責任ある積極財政」の責任の意味は? 財政健全化こそ将来世代への責任では?
   財政健全化のシナリオなしでの赤字財政容認は無責任では?
 
 ・「若手」国会議員は、古参議員よりも将来世代の立場がわかるのでは?
  「若手」国会議員は、当選回数が少ないので、次の選挙のことしか考えられない?
 
 ・3年前の2019.1の施政方針演説では、安倍首相自身が以下のように述べていた。
  『社会保障改革と同時に、その負担を次の世代へと先送りすることのないよう、
   2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進めます

 
 ・積極財政で「真に必要な政策への転換」とは、今よりもっと多い赤字国債の発行?
  過去30年で800兆円の赤字を増やした<経済再生→税収増→借金返済>の論法で、
  この先も突撃せよと聞こえる。
 
 ・本年1月の岸田首相の施政方針演説では以下の発言があり、積極性は感じられない。
  『経済あっての財政です。経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組みます』
 
     →  ★詳細別紙 
 
 以上


2022.2
ボーイング737MAXの事故原因


 1/23〜1/29の朝日の連載記事「強欲の代償 ボーイング危機を追う」について、
 過去のブログとの関連で、読んでみた。 1/23(1) 1/23(2) 1/25 1/26 1/27 1/28 1/29
 
 <関連ブログ1>
 2019.3  「航空機墜落事故2件は、またもソフトウェア不良が原因か」
 本ブログでは、下記の事故について、
 『なぜ、自動操縦と手動操縦が同時に可能な設計を今も続けているのか?』と述べた。
 ・2018.10.29のインドネシアでの航空機墜落事故で189人全員死亡
 ・2019.3.10のエチオピアでの航空機墜落事故で157人全員死亡
 
 <関連ブログ2>
 2021.12 「金融庁の某銀行・業務改善命令について」
 本ブログでは『コスト削減を優先し、品質管理を軽視した結果の失敗に見える』と述べた。
 これは、みずほ銀行のシステム障害続発の原因であるが、今回の連載記事によると
 ボーイング社の上記の2件の航空機事故も、同様の原因だったようだ。
 
 ■記事内容の要約 
 <事故の直接原因>
 ・10年余り前、燃料費を15%減らせるエアバス社の新型機への対抗策として、
  ボーイング社は、既存の737NGへの大型エンジンの搭載を決定。
 ・この改良で、加速時の機首の上がりすぎを防ぐために組み込んだ、
  機首を自動的に引き下げるシステムが今回の事故の原因となった。
 ・開発陣はシステムの危うさに感づいていたのに隠していた疑いが強い。
 ・パイロットが受けた56分の講習に、機首抑制のシステムの説明はなかった。
 
 <事故につながる過去の経緯>
 ・1997年に米経営者団体は、企業の目的を「株主に報いること」と宣言した
  同年、経営陣は、技術者優位の気風を、株価至上主義に変えていった。
 ・1990年代に、株価に連動するボーナスが導入され、開発予算と時間が削減された。
 ・2001年の本社移転以降、25万人の従業員を、8年後に15万人に削減し、
  開発や生産は外注し、設計や機能は書類作成も含めて丸投げし、
  安全の責任やコストを外注先に押し付けて、コスト削減をはかった

 ・2013年以降、墜落事故までの6年間に利益の総計を上回る金額を株主に還元した。
 
 <2019年の墜落事故以降の経緯>
 ・737MAXの認証手続きの大半が、ボーイング技術者への委任だったことが判明した。
 ・設計不良について、FAAによる認証手続きは法令通りと弁解した。
 ・2019年夏(2度目の事故の半年後)に、米経営者団体は、従業員や顧客、取引先、
  地域、地球環境などのステークホルダーに配慮した資本主義への転換を宣言。
 ・環境・社会・企業統治重視のESG投資が広がるが、所得格差は広がった。
 ・2021年、米司法省は、罰金2億4360万ドルで、刑事訴追を猶予した。
 
 ■コメント
 ・自動操縦と手動操縦が同時に可能な設計の問題は、 上記のブログ参照
 ・パイロット講習の重要性は、 「オートメーションサプライズ」のブログ参照
 ・ステークホルダー重視は、システム開発でも常道である。
  拙著 「ソフトウェア工学(第3版)」の「プロジェクト管理」参照。
 ・コスト削減による品質低下は、 みずほ銀行の障害続発と同じ。
 ・プロジェクト管理の知識体系PMBOKの10項目の知識エリアのうち、特に、
  品質管理、リスク管理、調達管理(外注管理)が不十分だった。
 ・品質検査の基本的な視点であるユーザ・消費者視点が抜け落ちている。
  拙著 「ソフトウェア工学(第3版)」 の「検査の目的」参照
 
 ・認証手続きの中で、設計不良はどのように検出するのであろうか?
  ソフトウェアシステムでは、開発者による設計レビューやシステムテスト、
  品質保証部による検査があり、特定ユーザへの納入品ならば、受け入れテストがある。
  今回の機種上げ抑制の自動制御システムに関して、センサーの故障などによる
  システム誤作動がテスト項目として設定され、シミュレータや実機によるテストが
  実施されていたのだろうか?
 
 ・「ステークホルダー資本主義」は、近江商人の「三方よし」と似ている。
  「売り手よし」は株主、経営者、従業員、「買い手よし」は顧客、取引先、
  「世間よし」は地域、地球環境と考えれば、あたり前のこと。
 
 ・再発防止策が不明。コスト削減を優先し、品質管理を軽視した結果の失敗に対しては、
  わかりやすい具体的な対策が取られて当然だが、・・・
 
     →  ★詳細別紙 
 
 追記(2022.3.21)
 本ブログで『ステークホルダー資本主義は、近江商人の「三方よし」と似ている』
 と述べたが、その後の朝日の記事 「みんなの資本主義」(2022.3.21)の中でも、
 「三方よし」に言及して、『日本はステークホルダー資本主義になじみがある』
 と記載されている。
 
 以上


2022.1
アジャイル開発における偽装請負について


 1/24の朝日の記事 『ソフトウェア開発、「偽装請負」懸念』によると、
 調査に回答した企業の2割近くがアジャイル開発を取り入れているが、
 偽装請負が疑われるケースがあるというので、 ソフトウェア工学の観点で読んでみた。
 
 ■記事の要約
 ・アジャイル開発が偽装請負とみなされる懸念があり、
  社会経済のデジタル化の障壁にならないよう、国は対応を急ぐ
 ・アジャイル開発では、発注者側と受注者側がチームで仕事をするので、
  受注者側の労働者が、発注者から「指揮命令を受けた」とみなされれば
  請負契約を装った労働者派遣、つまり「偽装請負」と判断される
 ・厚生労働省は、発注者側と受注者側の開発責任者が密に連携しても
  受注者側が自律的に開発業務をしていれば、偽装請負でないとした
 ・受発注双方の役割分担や業務の進め方などの事前合意が防止策となる
 
 ■ソフトウェア工学的観点でのコメント
 ・要求仕様に責任を持つ発注者と、開発に責任を持つ受注者とは、
  役割分担が明確であり、本来、請負業務は成立する
 ・発注者側は要求仕様に関する責任があり、その変更指示は問題ないが、
  要求仕様の追加・変更によって、開発コストが増加する場合、
  納期や支払金額に関して、契約書に追記されるべきと思う
 ・上記の防止策は当たり前なので、それが実行不可能な状況ならば、
  発注者と受注者が対等な関係でないことが疑われる。
 
     ★詳細 → 【別紙】
 
 【注】アジャイル開発とは?
   拙著「ソフトウェア工学 (第3版)」 (朝倉書店、2014年)での説明:
    <3.2.4「アジャイル開発」から抜粋>
    『数人から十数人のプロジェクタメンバが対話を密にして情報を共有し,
     早い段階で動くソフトウェアを作成し,チームの一員である顧客の確認を取り,
     変更が必要になればすぐ対応することで迅速な開発を達成する』
 
 以上


2022.1
みずほ銀行の業務改善とシステム障害の続発について


  1/17に、システム障害が続発するみずほFGが、新たな経営体制を発表し、
 システム部門の増強策などを盛り込んだ業務改善計画も金融庁に提出した。
 この一連の記事の中で、以下の文面が気になった。
 
 『昨年2月から続くシステム障害は、改善命令を受けた後の昨年12月末と
  今年1月にも発生しており、歯止めがかかっていない』
 『新経営陣には、改革の実効性とスピードが同時に求められている』
 
 【ソフトウェア工学の観点でのコメント】
 
 ・続発するシステム障害は、現行システムの低品質によるものであり、
  経営体制の一新と業務改善で、この品質が改善されるわけではない。
 
 ・今後の新規開発システムについては、よりよい品質が期待される。
 
 ・現行システムの品質改善のためにやるべきことは、
  現行システムのテスト仕様書を見直し、
  網羅的なテストの観点で、テスト項目の漏れを洗い出し、
  対応する追加テストを実施すること

 と思われる。
  
 (参考)
  拙著 「ソフトウェア工学(第3版)」(2014年、朝倉書店)からの引用
 『プログラムの作成を人手に頼る現在の開発方式では,
  最終的にはプログラムの検証によって品質保証を行わざるをえない』(p.71)
 『プログラムの品質は,もし誤りがあれば必ずそれを検出できるような
  効果的なテストデータに基づいてテストしたか否かに依存してしまう』(p.72)
 
 以上


2022.1
施政方針演説における財政健全化への言及


 国の借金1,000兆円が気になるので、昨日(1/17)の首相の施政方針演説を調べてみた
 (1年前のものも併記)
 (参考)
 ・岸田首相の施政方針演説(2022.1.17) → 全文
  <財政への言及部分:(経済再生)の項>
   『経済あっての財政です。経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組みます』
 
 ・菅首相の施政方針演説(2021.1.18) → 全文
  <財政への言及部分:(社会保障改革)の項>
   『経済あっての財政との考え方の下、当面は感染症対策に全力を尽くし、
    経済再生に取り組むとともに、今後も改革を進めます』
 
  両者に共通するのは、<経済再生→税収増→借金返済>という考え。
 この論法は、バブルがはじけた30年前から変わっていない
 その間に、借金は、約200兆円から1,000兆円に増加した。
 
  国政に携わる者が、次の選挙のことしか考えない結果、
 借金は増え続けている。その先には・・・
 
<追記>
 ・安倍首相の施政方針演説(2019.1.28) → 全文
 <財政への言及部分:(全世代型社会保障)の項>
  『こうした社会保障改革と同時に、その負担を次の世代へと先送りすることのないよう、
   二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進めます』
 
 以上


2022.1
脳の神経細胞における力学的情報伝達の発見


 2021.12.14の朝日の記事:
  「脳の神経細胞、「押す力」で情報伝達 東大グループ発見」に、
 脳の神経細胞に関して、化学物質か電気を介した情報伝達の他に、
 力を用いる第3の情報伝達法が発見された、との記述があった。50年以上前に、
 脳の神経細胞のシナプス結合に注目した卒業研究を行ったので、興味を持った。
 
 <記事の要約とコメント(→★)>
 ・脳の神経細胞は、化学物質か電気を介して情報をやりとりするが、これとは別に、
  力を用いる第3の情報伝達法が発見された。神経細胞が接し合うシナプスで、
  片方が押すと、押された側の働き方が変わる。
 
 →★脳の神経細胞間における、化学物質や電気を介した情報伝達は、
  50年以上前の下記の卒論の参考文献にも記載があり、知られていたが、
  神経細胞のレベルで「押す力」も関与していたとは、驚かされる。
    [文献:時実ほか:脳と神経系、岩波講座、現代の生物学(6), 1966]
 
 ・記事に掲載の「神経細胞とシナプス」の図では、
  神経細胞には、枝分かれした何本もの樹状突起があり、その枝から突き出た
  スパインが、別の神経細胞の一部に接して、シナプスを形成し、相手側の
  神経細胞が放出する神経伝達物質を受けて、その信号を細胞内に伝える。
 
 →★この図は、卒論の「1.3節 神経系と神経細胞」の図1-4とほぼ同じ。
   樹状突起やシナプスの説明はあるが、スパインという用語はない。
      [卒業論文(1969年)の参照先]
 
 ・繰り返し使われたシナプスでスパインが大きくなり、押された相手側で
  神経伝達物質が出やすくなり、その活性状態が20分ほど続くことを見つけた。
  これは、短期的な記憶を保つことに使われている可能性がある。
 
 →★記憶について、長期と短期に分類することが多いが、ここでの短期的な記憶は、
   20分という短い時間を考えると、むしろ、思考のプロセスとの関連が深いと思われる。
 
 ・ヒトの大脳には、シナプスが推計100兆個ある。
  脳での、刻々と膨大な情報を処理し、一部を記憶し、忘れていく柔軟さは、
  シナプス一つ一つの情報伝達の変化と大きく関係している。
 
 →★修士論文では、このシナプスの情報伝達の変化(ニューロン間の結合度)を
  概念間の連想度としてとらえ、思考過程をモデル化した。
    [修士論文(1971年)の参照先]
 
     ★詳細 →  <別紙>
 
 以上


2021.12
繰り返される政府開発システムの問題点


 政府が開発したワクチン接種記録システムVRSで、利用上の問題点が多発している。
 (参考)
 ・日経の11/3の記事   「ワクチン記録ミス頻発 政府システム読み取りづらく」
 ・朝日の12/29の記事  「接種記録、大量誤データなぜ 政府開発システム・VRS」
 
 ■問題点の要約とコメント(→★)
 
 ・ワクチンの接種状況を一元管理するシステムVRSに、入力ミスが相次ぎ、
  400万件を超えるデータの再確認に、全国の自治体が追われている。
 ・修正が必要なデータは、12/16時点で、全国約1億件のうちの約10万件(0.1%)
 ・接種券に記載の市町村コードや券番号を含む18桁の数字を読み取るため、政府が配布した
  タブレット端末のカメラでは、テスト段階から誤読する例などが頻発していた。
 ・日付やワクチンの種類など、一定のミスが避けられない手入力が必要な項目も多い。
 
 →★昨年の、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)の
   トラブルと同じ、以下の誤りが繰り返されている:
      *利用者視点なしのシステム開発だった
      *機能のみを重視し、使用性を軽んじた

   (参考ブログ)
    2020.12   「HER-SYSはなにが問題だったか」を読んで
 
 ・VRSは、間違って読み取った記録が、正しい記録を上書きで消していた。
  11月中旬に上書き防止機能を追加したが、不良の指摘はその数カ月前にあった。
 
 →★昨年の、新型コロナ接触確認アプリ(COCOA)でも、
   不具合への対応が4カ月放置された問題があり、以下の指摘をした:
      *プロジェクト管理の基本ができていない
   (参考ブログ)
    2021.2 新型コロナ接触確認アプリの不具合を4カ月放置
 
    ★詳細 →  <別紙参照>
 
 以上


2021.12
金融機関のシステム障害の38%はソフトウェアが原因


  2021.12.18の朝日の記事
  「年1500件障害、みずほ以外も システム統合・新サービス…投資不足」
 の記事の中に、ソフトウェアの障害が38%で最も多いとの記載があった
 
 ■記事の要約
 ・金融庁に2020年度に報告された障害は、約1500件
 ・原因をみると、ソフトウェアの障害が38%と最も多い
 ・金融庁は、障害が起きた後の対応のまずさを問題視
 ・国内の金融機関は、利益を直接生まないシステム部門をコスト部門とみて、
  外部化や子会社化を進めた結果、ITに精通した人材が不足
 ・金融庁の調べで、大手行の従業員に占めるIT技術者の割合は、
  {米国:29.7% 日本:3.7%}
 ・日本のメガバンクは、システム関連の投資額は年間数千億円規模だが、
  米国の大手はその数倍とも言われ、デジタル化の意識改革が急務
 
 ■ソフトウェア工学的観点でのコメント
 (1) ソフトウェア障害多発の主要な要因は、
   経営陣が、品質よりもコスト削減を優先させたことにある。
  これは、以下のブログで述べた。
   →2021.12のブログ 「金融庁の某銀行・業務改善命令について」
 
 (2)記事で指摘された日米の違いに関連するデータを以下に示す。
  (出典:平成30年(2018年)版 情報通信白書)
  *{日本:105万人 米国:420万人 }:ICT人材
  *{日本:28%   米国:65%   }:ユーザ企業に属する割合
  *{日本:約29万人 米国:約273万人}:ユーザ企業のICT人材
 
  *2016年度の受託開発ソフトウェアとパッケージソフトウェアの比率
    日本:88.3%:11.7% (受託開発ソフトウェアが多い)
    米国:53.8%:46.2% (パッケージソフトウェアも多い)

    →   【詳細別紙】
 
 以上


2021.12
金融庁の某銀行・業務改善命令について


  金融庁は11/26に、今年8回のシステム障害を起こしたみずほ銀行と持ち株会社に対し、
 銀行法に基づく2度目の業務改善命令を出した。
  これまで、2002年と2011年の大規模システム障害などについて、
 教科書やブログで取り上げてきたので、下記の業務改善命令を調べてみた。

  ・ みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について
 
 ■業務改善命令の内容要約
 ・システム障害に係る業務改善命令の内容:
   再発防止策、経営管理態勢整備、業務改善、責任の明確化
 ・システム障害の直接の原因:
   品質検証不足、委託先管理不十分、保守管理態勢不備
 ・原因の背景:
   現場を把握せず、人員の配置転換や維持経費の削減を推進
 
 ■ソフトウェア工学的観点でのコメント
 ・コスト削減を優先し、品質管理を軽視した結果の失敗に見える。
 ・システム障害の原因が具体的に述べられていないので、
  結果論だけでの管理者の責任追及のようにも見える
 ・原因解明には、ベンダー側のプロジェクト管理者たちのヒアリングも必要
 ・ユーザ側とベンダー側のプロジェクト管理者間での、
  プロジェクト管理に関する情報共有の欠如が疑われる
 ・第一義的なプロジェクト管理責任をもつCIOに関する分析がない
 
 ■みずほ銀行のシステム障害に関する過去のブログ:
 ・2021.3 「みすほ銀行のシステム障害は単純なプログラムミス」 
 ・2018.7 「IT事件史(2011年):みずほ「悪夢」再び 震災で混乱」を読んで
 ・2018.6 「IT事件史(2002年):みずほ銀が大規模システム障害」を読んで
 ・2011.4 「みずほ銀行の振込み処理トラブル」

    →   【詳細別紙】
 
 以上


2021.11
『コンピューティング史の流れに見る「人工知能」という研究分野』を読んで


 人工知能学会誌の最新号に掲載されていた下記の解説には、
 「コンピューティング史」における、著名なAI研究者の名前が引用されており、
 私のAI研究史との関連で、懐かしい研究者も多いので、興味を持った。
 
 ・レクチャーシリーズ:「AI 哲学マップ」〔第5 回〕
  コンピューティング史の流れに見る「人工知能」という研究分野
  人工知能学会誌、Vol.36、No.6,pp.775-788 (2021/11)
  
  以下の別紙では、この解説論文の中から、私の研究史と関連した研究者名を取出し、
 懐古趣味的コメントを記述した。最後に全体的コメントを追加した。
  
   → <詳細別紙>
 
 以上


2021.10
ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」について


 2021.10.2の朝日の記事
  「(古典百名山+plus:110)ヴィゴツキー『思考と言語』 大澤真幸が読む」の書評に
 「■能力、他者との関係で理解」という見出しを付け、
 「発達の最近接領域」という概念が紹介されている。
 <抜粋>
 ・1896年に、心理学で偉大な業績を遺したロシアのレフ・ヴィゴツキー誕生
 ・彼の主著『思考と言語』で、「発達の最近接領域」という概念を主張
 ・この概念は、人間が何かを「為(な)しうる」とはどういうことかを考えさせる
 ・今のところ他者に(半分)担われているという形式で、私に属している能力がある。
  つまり、他者性(援助者)と未来性(明日)を帯びた、私の能力というものがある
 
 ヴィゴツキーの『思考と言語』は、私の 修士論文(1971)の最も重要な参考文献だった。
 修論では、子供の自己中心的言語が内言(思考言語)に発展するという視点に着目したが、
 この書評の「発達の最近接領域」に興味を抱き、『思考と言語』の関連部分を読んでみた。
 
   → <詳細別紙>
 
 【読後の感想】
 →★本章の「科学的概念の発達」に関して、学校の授業は、今日できないことを教えて、
   明日には独力でできるようにしている、という意味では、当たり前のことと思われる。
 →★できることからできないことへの移行の可能性(発達の最近接領域)に関しては、
   個人差があるので、能力別クラス編成が必要となる。
 →★学校教育では、発達の最近接領域に基づいて、いつ、誰に、何を教えるかを考えよ、
   ということか。35人学級のような集団教育では、自覚的かつ随意的学習の実現には、
   かなりの工夫が必要と思われる。
 
 【ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」に言及している過去のブログ】
 
 2018.5  解説「子どものコモンセンス知識」でヴィゴツキーが引用されている
 2015.8  なつかしのヴィゴツキーが人工知学会誌の学習に関する論文で引用されている
 2014.7  なつかしのヴィゴツキーが汎用人工知能AGIで注目されている
  
 以上


2021.8
「接触確認アプリCOCOA からの教訓」を読んで


 事業費削減に関連したデジタル改革相の発言が話題となった
 オリパラアプリ(オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称))の
 発注プロセスを検証した報告書が8/20に公開された。
 (4件の記事を参考)
       → 【詳細別紙】
 
 ・2か月前の以下のブログで、ソフトウェア工学的観点での問題を述べている:
    2021.6  「オリパラアプリの予算を約73億円から38.5億円に減額」
   
 【抜粋】 (→★部分はコメント)
 <2021.8.20の記事>
 ・民間企業の参考見積書作成に、担当者が「税込み70億でお願いします」と依頼。
  また別の企業が作成した参考見積書を他社に送ってもいた。
 
   →★官製談合防止法の違反では?
 
 ・民間企業の社長が、仕様書の作成に関わり、アプリの再受託者になっている
 
   →★落札した企業がこの会社に再委託した理由を明確にする必要あり。
     この会社への再委託を前提とする仕様があれば、官製談合では?
 
 <2021.8.21の記事>
 ・複数社から見積もりを取り、適正な予定価格を決めるため、
  見積もりを拒んだ企業に押印も担当者の名前もいらないなどと頼んでいた
 
   →★手段と目的をはき違えたお粗末な話。
     「複数社から見積もりを取る」という形式のみにこだわり、
     「適正な予定価格を決める」という業務上の責任(国民への責任)を果たさず
 
 ・発注を担ったIT室幹部が関わったシステムがアプリに一部採用され、
  民間出身のこの幹部は、国の発注事業で自ら利益を得られる予定だった
 
   →★国家公務員倫理規定に違反しているのでは?
 
 以上


2021.7
「接触確認アプリCOCOA からの教訓」を読んで


 情報処理学会の最新号に掲載された、下記の特別解説では、
 接触確認アプリCOCOAのずさんなプロジェクト管理の実体が明らかにされている。
 
 ・特別解説「接触確認アプリCOCOAからの教訓」情報処理,62(8),384-392
 
 COCOAの不具合については、すでに下記の2件のブログで言及した:
 
   2021.4  「接触確認アプリ「COCOA」の不具合の報告書を読んで」
 
   2021.2   「新型コロナ接触確認アプリの不具合を4カ月放置」
 
 上記4月のブログでは、厚労省の報告書へのコメントとして、   
 『プロジェクト管理が全くされていなかったという一言に尽きる
 と述べたが、本解説では、その実態が具体的に記載されている。
 
 ★詳細 →  <別紙参照>
 
 以上


2021.7
「思考の外在的行為化の場としての仮想空間」を読んで


 人工知能学会誌の最新号の下記の解説は、思考方法の習得に関する、
 コンピュータによる学習支援について述べており、私の修士論文
 「思考過程の数学的表現と模擬実験」との関連で、興味を持った。
 <文献>
 思考の外在的行為化の場としての仮想空間 ─学習支援の立場から─
 人工知能学会誌、Vol.36、No.4,pp.476-479 (2021/7)
 
 詳細は別紙に譲るが、以下の点が私の修論に関係していた:
 
 ・思考の多くが内的な行為としても、一部が外在的行為化されることで、
  それに連なる思考を方向づけできるとの説明に関して、
  修論では、思考過程は、内的な拡散と集中の繰り返しのサイクルで表現され、
  集中度がある値を超えると言語化されて外部に出力されるので、
  この言語化は、本解説での外在的行為化と言えるかも。
  
 ・外的対象に対する外的な知的行為が、外言とその内在化を通して一般化した
  内言による内的な知的行為として形成されていくという、
  ガリペリンの知的行為の多段階生成説が紹介されているが、
  外言、内言という表現から、修論で注目したヴィゴツキーとの関連が気になった。
 
  この引用元の文献[東洋 編:思考と言語、講座心理学8、東大出版会,1970]は、  
  私の修論でも参考文献の4番目に掲載し、今も所持しており、
  その中に、ガリペリンはヴィゴツキーの考え方の流れを引くとの記述があり、納得。
 
 そのほか、知識工学関連の記述部分にも興味を持った。
 
 ★詳細 →  <別紙参照>
 
 以上


2021.6
オリパラアプリの予算を約73億円から38.5億円に減額


 事業費削減に関連したデジタル改革相の発言が話題となった
 オリパラアプリ(オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称))の
 経緯を調べてみた。4件の記事を参考にした。
       → 【詳細別紙】
 【抜粋】
 <2021.2.25の記事>
 ・1/14に数社で構成されるコンソーシアムと契約
 ・主な機能は健康管理機能。
  *日々の体温を記入。高熱が続いた場合はPCR検査を促す
  *陽性反応が出れば、感染者管理支援システムHER-SYSに引き継ぐ
 ・内閣IT室は、4月以降にテストを開始し、7/23以降に本格稼働
 <2021.4.2の記事>
 ・コロナ禍で海外観客の受け入れ断念で、アプリの見直しや予算の圧縮を検討
 <2021.6.1の記事>
 ・予算を、当初の約73億2000万円から38億5000万円に圧縮し、
  ベンダーと5/31に再契約
 ・顔認証による会場での入退場やGPSによる位置情報の把握の削除
 <2021.6.12の記事>
 ・国や自治体によるシステム発注は民間システムより高くなりがちな理由:
 (1)発注者が求める要件(仕様)が不明確で契約後も変わることが多い
 (2)仕様の変更が多いために納期の余裕がなくなり多くの技術者が必要になる
 (3)追加予算が認められにくいため最初から事業費を多めに見積もる
 
 【ソフトウェア工学的観点でのコメント】
 ★作業スケジュールは、設計・開発・テストが1月〜3月となっているが、
  1月の契約時点で、まともな要求仕様書が存在しているとは思えない。
 ★官公庁システムの失敗事例によくある「品質より納期優先」では?
 ★1/14の契約から4.5か月後の5/31に再契約で、7月の本格稼働が不変?
 ★発注者側に要求仕様書作成能力がない場合、外部の業者に委託すべき。
 ★まともな要求仕様書が無ければ、その後の設計・開発・テストの工数が見積もれず、
  開発の入札に応募する業者は、損失リスクの少ない高めの見積書を作成することになる
 ★今回、まともな契約書が作成されていたのか疑問。
 ★過去の関連ブログ(2021.4) 「接触確認アプリ「COCOA」の不具合の報告書を読んで」
  結論:「結局、プロジェクト管理が全くされていなかったという一言に尽きる」
 
 以上


2021.6
地方公共団体情報システムの標準化


 朝日の記事(2021.5.30)
  『自治体システム統一、道険し 政府「25年度末までに」、現場は「精神論」』 によると
 全国の1741市区町村が住民の情報を管理するシステムに関し、
 政府が標準規格をつくり、これに基づいたシステムに移行させる
 「地方自治体情報システム標準化法」が5/12に成立したとのこと。
 
 関連する総務省の資料:
  「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案の概要」 の要点
 ・事務処理の共通性、住民の利便性の向上及び行政運営の効率化の観点から、
  標準化の対象となる事務を特定
 ・データ連携、サイバーセキュリティ、クラウド利用等
  各情報システムに共通の事項の基準(省令)を策定
 
  このような記事を読むと、次のような、実現しなかった過去の提言を思い出してしまう。
 
 ●疑問1:17年前の下記の重点項目が実現していない原因が不明
 2004.6.15の 「e-Japan重点計画-2004」(IT戦略本部)では、
 「5.電子政府・電子自治体の推進」の「(1) 基本的考え方」において、
 以下の記述あり:
  『今後これら基盤を活用し、すべての地方公共団体においてIT を利用した質の高い
   行政サービスを提供していくためには、重複投資を回避するための
   業務・システムの標準化・共同化や、IT 化を支える人材の育成等に係る
   地方公共団体の取り組みに対し支援を行っていく必要がある』
 
 ●疑問2:10年前の国の支援策の反省と今後の役割が実現していない原因が不明
  2011.6の総務省の 「ICT地域活性化懇談会 提言(案)」 では、
 「第2章 課題解決に向けたICT政策の方向性」の
 「3 今後の国の役割と支援の在り方」において、以下の記述あり:
   『ICTによる地域活性化を推進する上で国が適切な役割を果たす』
   『各地方自治体のハブとしての役割を担うことに重点を置いていく』
 
 ●最近の関連ブログ
 ・2021.1  ワンストップサービスは20年前の政策だった  
 ・2020.7  「特別定額給付金─何が問題か,今後どう改善すべきか」を読んで 
 ・2020.7  「国や地方の情報システムが個々ばらばら」との指摘は遅すぎ 
 ・2020.6  マイナンバーによるオンライン申請の失敗の原因は? 
 
  →  <詳細別紙>
 
 以上


2021.4
接触確認アプリ「COCOA」の不具合の報告書を読んで


 COCOAの不具合については、下記のブログで言及した:
   2021.2  新型コロナ接触確認アプリの不具合を4カ月放置
 
 本件に関して、4/16に厚労省から以下の報告書が公開された。 <厚労省ホームページ>
 ・接触確認アプリ「COCOA」の不具合の発生経緯の調査と再発防止の検討について(概要)
 ・接触確認アプリ「COCOA」の不具合の発生経緯の調査と再発防止の検討について(本体)
 
 このうち、概要を読んだ感想として、
 結局、プロジェクト管理が全くされていなかったという一言に尽きる。
 下記の10項目のほとんどが不十分だった。
 
    →  <詳細別紙>
 
 【プロジェクト管理の10項目】
 拙著 「ソフトウェア工学(第3版)」 (朝倉書店)の「3.4 プロジェクト管理」から引用
 
 『プロジェクト管理の知識体系PMBOKの10項目の知識エリア』
  ・統合管理     :ステークホルダの期待に応えて要求を達成
  ・スコープ管理   :目標達成のための作業設定と成果物の検証
  ・時間管理     :各工程の工数を見積もり,進捗を管理
  ・コスト管理    :各工程のコストを見積り、実績管理
  ・品質管理     :品質評価方法を決め,適宜,評価を実施
  ・人的資源管理   :スキルを有する要員の計画を立て、その確保
  ・コミュニケーション管理:情報収集,配布,保管,検索実施
  ・リスク管理    :納期,予算,品質のリスク予測と対応策
  ・調達管理     :外注先選定や契約内容などの外注管理
  ・ステークホルダ管理:利害関係のある関係者との意思疎通
 
 以上


2021.4
デカルトのコギト・エルゴ・スムについて


 2021.4.3の朝日の記事 「(古典百名山:98)デカルト『方法序説』 大澤真幸が読む」
 書評に「■考える私は存在するのか」という見出しを付け、
 最後に、評者自身の意見が述べられている。
 「私は考える」ので「考える私は存在する」、との論理は単純すぎると述べ、
 その理由として、私が考えているとき、その思考の対象として、
 それを考えている私の存在は絶対にありえないからだ、とのことである。
 
 これは、オブジェクトレベルとメタレベルの記述を想定すれば、当然であろう。
 私も、過去に思考過程のモデル化の研究の中で、以下のような記述を残している。
 
 ・ 考えている私を考えている私は誰?
 ・『考えることを考える』という一人二役的困難さのために、
   一方の役を熱演しすぎると、他方がおろそかになる
 
   →  「詳細別紙」
 
 以上


2021.3
みすほ銀行のシステム障害は単純なプログラムミス


 日経BPの記事(2021.03.02)
  「みずほ銀行システム障害の全容、データ更新のオーバーフローが発端に」によると、
 2/28にみずほ銀行のATMやネットバンキングの一部の取引ができなくなり、
 ATMからキャッシュカードや通帳を取り出せなくなった障害の原因は、
 定期預金25万件と一定期間取引のない口座45万件のデータ更新処理を実施中に、
 不必要な取引データの「取り消し情報管理テーブル」でオーバーフローが発生したとのこと。
 
【コメント】
 ★事故の原因として、報道記事では「メモリー容量不足」という表現が多いが、
  テーブルオーバーフローのチェックコードがなかったという、
 「プログラミングの基本に関する単純ミス」の表現としては違和感あり。
 
 <参考:オーバーフローのチェック漏れに関する過去のブログ6件>
 2018.7  「IT事件史(2011年):みずほ「悪夢」再び 震災で混乱」を読んで
 2016.5  新幹線の電光掲示板故障の本当の原因は?
 2016.2  オーバーフローのチェック漏れがなくならない
 2015.6  オーバーフローのチェック漏れがなくならない
 2011.4  みずほ銀行の振込み処理トラブル
 2011.1  新幹線システム障害の本当の原因は?
 
 以上


2021.2
「クラブハウス」は「仮想サロン」と類似


 最近話題の招待制の音声配信SNS「クラブハウス」の記事(2021.2.5) 
  『急増する音声SNS「クラブハウス」って?』の中に、
 『研究室で仕事をしている時に、学生らが訪ねてくるイメージ』という記述があった。
 当研究室は、同じコンセプトで25年前に『仮想サロン』を開発して利用した経験あり。
 
【類似点】
  参加者が顔写真などの画像で表示されている。
 (参考サイト) 「Javaを使って開発した仮想サロン」
 ただし、1995年時点では、音声は使えず、テキストによる会話。
 
【過去の関連ブログ】 「2019.9 職場でのチャットの利用が増えている」
 仮想サロンの詳細は、本ブログで紹介している。
 
 なお、情報処理学会での発表の中では、
 『V-Saloon は、現在我々の研究室で以下のように利用されているが、
 使用頻度としては、学生と先生の対話が最も多い』と述べている。
 
 以上


2021.2
新型コロナ接触確認アプリの不具合を4カ月放置


 2/3の朝日の記事 『発見遅れたCOCOA不具合、厚労省「実機テストせず」』によると、
 9/28に、iPhoneユーザに濃厚接触でないのに通知がいく不具合を直したが、その時
 アンドロイドユーザに濃厚接触なのに通知がいかない、という新たな不具合を
 作りこんでしまった。この不具合について、SNSや報道で指摘されたが、
 件数が少なかったので、4カ月間放置してしまった。
 
 【ソフトウェア工学の視点でのコメント(→★部分)】
 
 問題1:アプリ変更後、基本的な動作テストのみ実施
 →★今回の変更目的が、iPhone対応の機能不備の修正だったので、
   iPhoneを用いた実機テストのみ実施したと思われる。
   これは、ソフトウェアテストの基本を無視したもの。
   プログラムを変更したときは、これまで正常に動作していた部分に
   誤りを作りこむことがあるので、改めて全体をテストする必要がある。
 
 問題2:不具合報告の件数の少ないものを放置
 →★まず、すべての不具合の報告は、記録票に残さなくてはならない。
   今回の場合、カスタマーサポートにユーザから連絡があった時点で、
   [日時、記録者、不具合の現象]などを記録して、不具合対策者に送付し、
   その対策者が、[対策日時、対策者、対策箇所、対策内容]などを記入し、
   プロジェクト管理者に報告する。対策不要の場合もその旨記入。
 (プロジェクト管理の基本)
 
 問題3:プログラム構造(モジュール分割)が保守容易な構成でない
 →★今回はスマホの機種(iPhone、アンドロイド)対応の処理があった。
   当然、機種依存の各処理モジュールは、独立に作成し、共通モジュールとの
   結合度を最小化しておけば、iPhone対応モジュールを変更しても、
   アンドロイド対応モジュールに影響しなかったはず。
 
 【拙著: ソフトウェア工学(第3版)での対応部分】
  問題1:7.4節「テスト手順」(回帰テスト、regression testing)
  問題2:8.4節「不良分析」(不良記録票(バグ票))
  問題3:5.2節「設計の評価基準」(モジュール結合度)
 
 以上


2021.1
デジタルディバイド対応は20年近く前の政策だった


  2021.1.18の首相の施政方針演説 → <全文>
 の「デジタル改革」中に、以下の内容がある。
 『高齢者や障害者、デジタルツールに不慣れな方々もしっかりサポートし、
  誰もが、デジタル化の恩恵を最大限に享受できる社会をつくり上げてまいります』
 
 ★20年近く前の計画が、今も実現していないことが不思議!
 
 【過去の関連資料】
2002.6.18
 「e-Japan重点計画-2002」:IT戦略本部
 (関連部分の抜粋:p.95)
 III.横断的な課題 >3.デジタル・ディバイドの是正
  >(2) 年齢・身体的な条件の克服
 『年齢、身体的な条件により情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差が生じないよう、
  地方公共団体等における施設のバリアフリー化、障害者や高齢者、子ども等に配慮した
  情報提供等のバリアフリー化や情報通信関連機器・システム等の開発を推進する。
 <4> 障害者、高齢者、子どものための情報通信関連機器・システム、サービスの開発等』
 
2004.6.15
 「e-Japan重点計画-2004」:IT戦略本部
 (関連部分の抜粋:p.118)
 IV.横断的な課題 >3.デジタル・ディバイドの是正
 > (2) 年齢・身体的な条件の克服
  (注)2年前の上記の重点計画と同じ内容
 
2004.3(拙著)→ <詳細>
 「ソフトウェア工学(第2版)」(朝倉書店)
 第1編 ソフトウェアの動向 >1.情報化社会の光と影
 >1.4 解決されるべき課題
 『情報アクセス能力の格差が新たな差別を生み出すデジタルデバイド問題など,
  解決されるべき課題は多い.』
 
 以上


2021.1
ワンストップサービスは20年前の政策だった


 2021.1.18の首相の施政方針演説 → <全文>
 の「デジタル改革」中に、以下の内容がある。
 『あらゆる手続が役所に行かなくてもオンラインでできる、
  引っ越した場合の住所変更がワンストップでできる、
  そうした仕組みをつくります』
 
 ★20年前の計画が、今も実現していないことが不思議!
 (例)米国   MOVING 
 
 【過去の関連資料】
2001.1.22
 「e-Japan戦略」:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
 (関連部分の抜粋:p.10)
 II.重点政策分野 >3.電子政府の実現 >(3) 推進すべき方策
 ><2>官民接点のオンライン化
 『2003年までに、国が提供する実質的にすべての行政手続きを
  インターネット経由で可能とする。類似業務の統廃合とシステム化を進め、
  ワンストップサービスを実現する』
 
2004.6.15
 「e-Japan重点計画-2004」:IT戦略本部
 (関連部分の抜粋:p.17)
 II.2005年の目標達成への施策の重点化・体制整備と2006年以降に向けての布石
 >〔1〕2005年の目標達成への施策の重点化 >〔1-1〕加速化5分野
 >5.電子政府・電子自治体の推進 >(2) 具体的施策
 <1>ワンストップサービスの整備
 『成果目標:e-Govと各府省のシステムとの連携等により複数手続を一括して
  オンライン申請できるワンストップサービスを2005年度までに整備するなどにより、
  オンライン申請における国民の利便性の向上を図る。
 ウ)電子政府の総合窓口(e-Gov)を活用した手続のワンストップ化』
 
1997.12(拙著)→   <詳細>
 「エンドユーザ指向の分散アプリケーションフレームワークwwHwwと例題への適用」,
  JISA会報, No.48, 1997.12.
 「2.応用システム」で引越しの窓口業務のオンライン化に言及(p56〜p57)
 
2001.3(拙著)→ <詳細>
 「絶えざる変化に対応するエンドユーザ主導型アプリケーション開発技法」、
  情報処理学会 第62回全国大会 特別トラック(4)
 「IT革命を支えるソフトウェア開発技術」講演論文集 6H-01、pp.87-92
 <「2. エンドユーザ主導の必要性」から抜粋>
 『IT革命が流行語になっている一方で、転居に伴う新住所、氏名、
  電話番号などの記入を数十回繰り返し、その大半は郵送または
  窓口への訪問による提出を伴っているのが現状である』
 
 以上

追記(2021.4.1):過去のブログ
2011.3
  引っ越しワンストップサービスの最近の事情


2020.12
「HER-SYSはなにが問題だったか」を読んで


 下記の特別解説は、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム
 HER-SYSについて、利用者の視点で、問題点が具体的に指摘されている。
 
 ・特別解説:HER-SYSはなにが問題だったか ─先行導入,本導入,改修提案を振り返って
  情報処理 Vol.62 No.1 pp.4-9(2021年1月号)(2020 年10 月23 日受付)
 
 以下のブログでは、システム利用者への要求分析の不足を指摘してきたが、
 本解説には、その具体的な内容が記載されている。
 
 ・2020.9 「感染者情報管理の新システムの問題点とは」
 (抜粋)『要求仕様書が、多様なステークホルダー・利用者の視点で作成されていない』
 
 ・2020.12 「患者急増で、感染者データ集約システムへの入力が遅延」
 (抜粋)『最も重要なステークホルダーは、医療機関での入力担当者だが、
      システムの要求分析段階での調査が不十分だったのではないだろうか』
 
 【本解説における関連内容の一部分】
 ・当初の要件定義には,複数の住所や管轄保健所の概念がなかった.
 ・名寄せが不完全なために重複届出を見逃すことがある
 ・従来システムに比べ、入力項目が10 倍以上に増えているが,論理チェック機能がない
 ・発生届出先の管轄保健所は、400以上の保健所からの選択なので,誤選択しやすい
 ・保健所の負担軽減のためのシステムと言いながら,負担は増えている
 
 【ソフトウェア工学の観点でのコメント】
  →★本解説の内容から、利用者視点なしのシステム開発だったことは明白!
    今どきのシステム開発で、利用者無視の要求仕様が作成されたことは驚き!
  →★機能のみを重視し、使用性を軽んじた結果、システムの利用率を達成できなかった
 
    ★詳細 → <別紙参照>
 
 以上
 
 追伸:
 本特別解説については、12/24に情報処理学会に
 「読者の意見」として、下記を投稿した。
 『 e-Japan発表以来の20年間、利用されない行政システムの多くは、
  利用者視点の要求分析の欠如でした。
  本解説は、その問題点を見事に具体的に指摘しています。
  現在、デジタル庁の設立にかかわる人の必読書と思います。』
 以上


2020.12
患者急増で、感染者データ集約システムへの入力が遅延


 NHKニュース(2020.12.13)
   「新型コロナ 国の感染者データ集約システム 入力が現場の負担に」
 <要点>
 ・患者が急増する北海道では、医療機関が入力作業に対応しきれず、
  先月のデータ(5600人余り)のおよそ3割が未入力(12/10時点)
  *保健所は、医療機関から感染状況をファックスで受け取る(従来の方法)
  *応援職員を保健所に派遣するも、患者の聞き取りなどに人手がかかる
  *医療機関の直接入力による保健所の負担の軽減という目的は未達成
 
 ・全国の感染状況のリアルタイムでの把握という目的も未達成
 ・国は自治体のホームページの感染者のデータを取りまとめ、統計データを公表
 ・7月以降の検討で、以下のシステム改修を実施:
  *入力データの明らかな誤りの通知機能の導入
  *入力項目数をおよそ3分の1の40程度に削減
 ・個人情報の取り扱いなどで一部の自治体との調整が難航し、
  保健所を設置している155のすべての自治体への導入は10月に完了
 
 【ソフトウェア工学の観点でのコメント】
 
 ・本ブログは、下記のブログの続編:
  2020.9 感染者情報管理の新システムの問題点とは
 
 ・本システム導入の目的のうち、
  *「全国の感染状況のリアルタイムでの把握」は、迅速な入力が前提
  *「医療機関の直接入力による保健所の負担の軽減」も、
   医療機関での迅速な入力が前提
  *結局、本システムの最も重要なステークホルダーは、医療機関での入力担当者だが、
   システムの要求分析段階での調査が不十分だったのではないだろうか。
   その結果、「想定外」の状況が発生して、システムが所期の目的を達成できていない
  
 以上


2020.12
政治資金関係オンラインシステムが利用されず


 朝日の記事(2020.12.12)「国会議員関係の政治資金報告書 オンライン提出1.13%」
 <要点>
 総務省提供の政治資金関係申請・届出オンラインシステムについて
 ・2005年のシステム導入以来、国は約36億円を投じたが、有効に使われていない
 ・2009年に会計検査院は、利用率の低さを総務省に指摘した
 ・2010年に、国会議員が関係する政治団体にオンライン提出の努力義務を課した 
 ・2013年度までに利用率60%達成の目標を設定していた(総務省)
 ・2019年分の収支報告書について、2546の国会議員関係政治団体の利用率1.13%
 ・システムを使わない理由は、
  「選管に紙で持参すると軽微な記載ミスを指摘してもらえる」
  「大量の領収書をスキャンして添付するのが手間だ」など
 
 【ソフトウェア工学の観点でのコメント】
 ・相変わらず、要求分析段階で、利用率の想定が甘い。
  「2013年度までに利用率60%」の目標は、単なる願望だったのでは?
 ・「軽微な記載ミス」は、システム利用時に自動検出すべきもの
 ・「スキャンの手間」は、その都度スキャンすれば、管理の簡素化の利点が大きい
 
 【過去の利用率に関する指摘】
 ・関連する学会発表(拙著): → < 詳細 >
   「システムの利用率は要求分析の対象では?」情報処理学会
    ウィンターワークショップ2010・イン・倉敷 論文集、pp.39-40(Jan.2010)
 
 ・以下は「利用率」問題に言及した過去のホームページ(6件):
  2020.10  15年前の悪夢:パスポート電子申請システム再び
  2020.9  感染者情報管理の新システムの問題点とは
  2019.10  続:利用されない行政システムの開発がなくならない
  2019.4  利用されない行政システムの開発がなくならない
  2015.9   メタボ検診: システムのミスで十分活用できず
  2009.11  いつまで繰り返す電子政府の電子申請システムの無駄
  
 以上


2020.11
「脳科学からプログラミング教育を考える」を読んで


 情報処理 Vol.61 No.11(2020.11)の解説論文(pp.1120-1125)
 「脳科学からプログラミング教育を考える」の、
 副題「プログラミング的思考は汎化するのか?」について、
 小学校でのプログラミング教育の目的という観点で興味を持った。
 
 【要約:抜粋】
 ・2020年から施行の小学校学習指導要領総則によると、
  プログラミング教育の狙いは、論理的思考力を育むこと
 ・ソースコードの理解課題において、活動が増加した脳の部位:
  *下頭頂小葉:数字と文字の組合せによる関係性把握
  *運動前野:構文理解におけるワーキングメモリ機能、注意機能
  *下前頭回:統語レベルでの意味処理に関連した言語処理
  *中側頭回:単語レベルの意味処理にかかわる言語処理
 ・初心者がプログラミング学習すると前頭葉下部に可塑的変化あり
 ・プログラミング学習に伴う一般的な論理的思考力の向上は不明
 
 【コメント】
 →★私の持論:プログラミングの本質は、段取りや手順を考えること
   例1:運動会の実施にかかわるすべての人たちの行動を記述する
     (事前準備、時系列&並行処理での関係者の役割実施の段取り)
   例2:個人でカレーライスを作る流れを明記する
     (材料準備から食事の提供まで)
 →★問題解決の処理アルゴリズムを考案する能力と
   それをプログラミング言語で表現する能力は別のものでは?
 →★以下の2例に類似性があるのでは?
   *処理の流れは記述できるが、プログラムの記述は不得意
   *自分の考えを明瞭に表現できるが、英語での表現は苦手
 
  ★詳細 → <別紙参照>
  
 以上


2020.10
東証事故の原因は設定値ミスとテスト漏れ


 10/1に東証の株式売買システムで障害が発生し、終日停止した。
 東証の 「arrowhead の障害に関する原因と対策について」によると、
 共有ディスク装置1号機のメモリ故障を制御機構が検知し、
 切替え用設定値に従って、2 号機に自動的に切り替えられるはずが、
 設定値に間違があり、自動切替えに失敗した。
 
 【ソフトウェア工学の観点でのコメント】
 「メモリ故障に起因する障害パターン」のテスト漏れがあった。
 ・漏れたテスト項目:「1号機のメモリ故障が発生」→「2号機に自動的に切替」
 これをテストしていれば、「切替え用設定値」の間違いが発見できた。
 
 【疑問】
 ・網羅的なテスト項目抽出の観点では、
  このような単純なテストケースがなぜ漏れたのか理解できない
 
 ・2015年6月のブログ 『興味深い次期東証システムの「二者設計」 』で言及したように、
  高品質の設計のために、十分すぎるほどのコストをかけたにもかかわらず、
  設定値の間違いという単純ミスが発生した理由がわからない
  
 【追記】2020.10.20 朝日記事「東証、取引再開ルール策定へ」から
  ・開発側は、納入前に仕様を確認したが、テストせず
  ・東証も、納入時に十分確認せず
  ・マニュアルにも、新しい設定に関して記載せず
  ・2015年のシステム更新時に、設定変更せず
 
 【追記2】2020.10.21 朝日記事「金融庁 東証立ち入りへ」から
  ・故障機器のバックアップ機能の設定は、誤ってオフになっていた。
  ・システムの仕様が2015年に変更される前は、オフで機能が働いたが、
   変更後は、オンにする必要があった。
 
 以上


2020.10
15年前の悪夢:パスポート電子申請システム再び


 10/1の来年度予算の概算要求の記事の中に、外務省が提案した
 「旅券の電子申請システムの設計・開発など 21億円」がある。
 15年前にほとんど利用されないで廃止された、同様のシステムを思い出した。
 
 【15年前の悪夢】
 ・私の学会発表での引用 →<論文内容>
  End-User-Initiative Approach for Truly Useful e-Government Systems,
  the IADIS e-Sosiety 2010 Conference, pp.123-130 (Mar. 2010).
  (内容抜粋:2.1節で言及)
  2004年に開始したパスポート電子申請システムは、
  133件の利用にとどまり、2006年に停止された。開発コストをこの件数で割ると、
  1件当たりのコストは、10万ドル以上になる。
 
 ・関連記事(2006.8.28)→ 「パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額」
 (抜粋)投下した費用21億3300万円を133人で割ると、パスポート一冊発行に1600万円
 
 【今回の予算申請理由は?】
  当然、利用率を含めて、優先的に開発する理由があるのでしょうね。
 
 ◎本題と無関係な個人的話題:旅券番号「〜888888」だった
      
 以上


2020.9
感染者情報管理の新システムの問題点とは


 5月下旬から開始された感染者情報管理の新システムに問題点が多く、
 所期の目的を達成できていない
 
 【新システムの概要】
   新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)
 ・厚生労働省が、保健所等の業務負担軽減及び情報共有・把握の迅速化を図るため、
  緊急的な対応として、本システムを開発・導入
 ・利用者:保健所、自治体、医療機関、関係業務の受託者等
 
 【問題点指摘の情報源】
 ・NHK(8/26) 感染者情報の国のデータベース 一部データを把握できず
 ・朝日(9/21) HER-SYS、道半ば コロナ感染者データ、国・自治体で共有 ・・・
 ・朝日(9/29) 感染者集計「ハーシス」への入力、自治体6割「ほぼ保健所が代行」 ・・・
 
 【システムの問題点】
 ・HER-SYSのデータベースで、発症日や職業などのデータを把握できず
 ・集計機能が使えず、7月以降は感染状況の詳細な分析ができず
 ・入力項目が非常に多岐にわたり、保健所や医療機関などの大きな負担
  (入力欄は最大120〜130項目)
 ・感染状況の分析に不可欠の入力必須項目の表示がない
 
 【利用状況の問題点】
 ・医療機関による入力は、感染者が多い都市部で広がっていない
  (回答した318の医療機関の利用率は、41%)
 ・6割の自治体で、医療機関が行う感染者情報の入力を保健所が代行
  (保健所の業務負担軽減が目的のシステムで、逆に業務量増加)
 ・自治体では、検査で陰性だった人の情報入力が負担
 ・入力漏れや間違いが一定程度あり、データの精度を確保できず
 
 【ソフトウェア工学的観点】
 ★システムの要求仕様書が、
  多様なステークホルダー・利用者の視点で作成されていないと思われる。
 
  <関連する学会発表(拙著)>
  ・「システムの利用率は要求分析の対象では?」情報処理学会
    ウィンターワークショップ2010・イン・倉敷 論文集、pp.39-40(Jan.2010)
     →  < 詳細 >
 
 以上


2020.8
品質よりも納期を優先した国のシステムとは


 「全国民に一律10万円給付」に関するオンライン申請の失敗については、
 直近のブログ(6月〜7月)で取り上げてきた。
 朝日の記事(2020.8.25)
  「10万円給付、混乱のオンライン申請 111自治体、取り扱い中止」によれば、
 システム改修について、品質よりも納期を優先したとのことである。
 <記事抜粋>
 ・「減収世帯に30万円」の決定は「全国民に一律10万円」と一変、
  総務省は4/20に申請方法を発表。申請開始は5/1からとされ、
  約1カ月あったシステムの開発期間は、わずか10日間になった
 ・担当官僚の発言
  「官邸、自民や公明の党本部、どこに行っても『とにかく早く配れ』と言われた」
  「通常は本番稼働の前に10日間ほどかけて予行演習し、
   システムの改修をしていくが、今回はその時間がなかった。
   システムトラブルにつながる最低限の欠陥を確認しただけで、
   あとは実際に動かしながら不具合を修正していくしかなかった」
 ・申請が始まり、内閣府は断続的にシステムを改修。(6/15までに51件)
 
 ★品質確認よりも納期遵守を優先したとは、信じがたい暴挙といえる。
 ★国には、ITの専門家がいるはずだが・・・
 ★国は、テスト不十分を理由に銀行システムの更新延期を命じたこともあった
 
 ★拙著「ソフトウェア工学(第3版)」(2014 朝倉書店)「第7章 テスト」抜粋
 『・・・プログラムが変更されると無効になり,
  過去に実行したテストを再びやりなおす回帰テスト(regression testing)が必要になる.
  そこで,各テストケース単位にテストデータ入力から結果の確認までを
  テスト手続きとして記述することにより,テスト実行を自動化することが有効である』
  
 以上


2020.7
「特別定額給付金─何が問題か,今後どう改善すべきか」を読んで


 情報処理学会誌「情報処理 2020年8月号」の特別解説(p.798-p.802)
 「特別定額給付金─何が問題か,今後どう改善すべきか」は、
 直近の下記のブログ2件と関係が深いので興味を持った。
 
  ・2020.7  「国や地方の情報システムが個々ばらばら」との指摘は遅すぎ
  ・2020.6  マイナンバーによるオンライン申請の失敗の原因は?
       
 ★詳細は、→ <別紙参照>
  
  以下に、主なコメントを述べる。
 
 ●法律の問題
 
 ・総務省の情報提供ネットワークシステムを経由して氏名・住所・
  生年月日・性別の基本4情報へのアクセスを可能とするために、
  番号法の別表1と別表2を改正しなかった理由が不明
 
 ●システムの問題
 
 ・国が住民情報ファイルと受付データの突合ツールを提供したにもかかわらず、
  多くの自治体が独自の処理方法をとった理由が不明
 
 ・重複申請、記入ミス多発などの問題が事前にわかっていながら
  放置されていた理由が不明
 
 ・2019年に成立したデジタル手続法では,行政機関間の情報連携によって
  入手・参照できる情報の添付を不要とする規定があるので、
  自治体が保有する世帯主や受給者の情報を申請者に入力させなくても,
  自動処理できた可能性があるのに、そうしなかった理由が不明
 
 ・要求分析段階で、利用形態を想定した使い勝手のよいインタフェースを設定し、
  かつ、事後の想定外の機能追加を容易化するようなWebサービス連携機能を
  実装しておくべきだったと思う。
  
 以上


2020.7
「国や地方の情報システムが個々ばらばら」との指摘は遅すぎ


 2020.7.15のNHKニュース
  『「IT基本法」 改正案の国会提出目指し検討を指示 首相』の中での
 総理大臣の以下の発言に絶句!
 
 『これまで国民本位の行政のデジタル化を阻んできた最大の原因は、
  国や地方の情報システムが個々にばらばらで、
  十分な連携がなされていなかったことにある』
 
 記事によると、このように指摘し、国と地方の情報システムの統合に向けた指針を
 年内に取りまとめるよう指示したとのこと。
 
 このような問題点は、10年以上も前に明らかだった。
 「裸の王様」でなければよいのだが・・・
 
   → 【詳細別紙】
  
 以上


2020.6
マイナンバーによるオンライン申請の失敗の原因は?


 特別定額給付金(10万円)の申請方法に関して、
 6/1までに43自治体がオンライン申請の受け付けを停止した件について、
 情報システム構築(ソフトウェア工学)の観点で考察する。
 
 ●マイナンバーカード総合サイトによると
  マイナンバーとは、「行政の効率化、国民の利便性を高める制度」で、
  マイナンバーカードで「各種行政手続きのオンライン申請」が可能とのこと
 
 ●日経コンピュータの記事
   「10万円オンライン申請は「失敗」だったのか? 自治体を混乱させた本当の要因」
  では、次のような指摘(一部の抜粋)がある。
 
 *今回のオンライン申請では、氏名や住所などの誤入力や二重申請が多く、
  自治体が持つ住民情報との照合に多大な手間がかかった
 
 *一方、行政機関と自治体のシステム間で住民データをやり取りする場合、
  自治体が持つ住民の基本情報(氏名・住所・性別・生年月日)を送信してはならない
  という運用ルールがあり、世帯主や世帯構成員の名前の自動入力ができなかった
 
 ■ソフトウェア工学の視点でのコメント
 
 ★行政システム開発時(要求分析)に、利用形態を想定した使い勝手や
  利用率がしっかり考慮されていない。
 
 ★Webサービス連携を考慮したインタフェース設定になっていない、
  すなわち、想定外の新機能の追加を容易にする仕掛けができていない
 
 
 <以下、過去の関連する学会発表とブログ>
 
 ●関連する学会発表(拙著)
 ・「システムの利用率は要求分析の対象では?」情報処理学会
   ウィンターワークショップ2010・イン・倉敷 論文集、pp.39-40(Jan.2010)
    →  < 詳細
 ・「電子自治体向けフォームベースシステムと検索・記入・提出用ポータルサイト
  の構築法」、情報処理学会 第65回全国大会
  特別トラック「e-Japanの進展」、pp.5575-5578(Mar. 2003)  → < 詳細
 
 ●過去の関連ブログ
 ・2019.12【失敗したe-Japan戦略】 →< 詳細
 ・2019.10【続:利用されない行政システムの開発がなくならない】 →< 詳細
 ・2009.11【いつまで繰り返す電子政府の電子申請システムの無駄】 →< 詳細
 ・2006.4 【e-Japan戦略からIT新改革戦略へ】 →< 詳細
 
   → 【詳細別紙】
  
 以上


2020.5
二重払いの銀行振り込みの後処理について


 最近、特別定額給付金10万円に関する二重払いのニュースが2件あった。
 
 (1)福島県天栄村での二重交付のミス  【記事】 
 天栄村は5/19に、375世帯1162人分となる1億1620万円を二重交付のミスを発表。
 該当世帯に電話や戸別訪問で事実関係の説明や謝罪をするとともに返金を依頼。
 
 (2)寝屋川市での2重給付のミス  【記事】 
 寝屋川市は5/26に、993世帯2196人分の2億1960万円を2重給付のミスを発表。
 該当世帯に電話で謝罪と経緯の説明をし、振込用紙を送って返金してもらう。
 
 以上の例で、該当世帯に連絡して返金依頼をしているのは、当然の後処理と思う。
 
 ★ところが過去に私が経験した給料の2重振込については、
  本人に連絡はなく、二重振込の記録が勝手に消されていた。
  今回のニュースで、改めて当時の後処理は異常と考える。
 
 ■詳細は以下のブログ参照:
 2011.4  【みずほ銀行の振込み処理トラブル】  →  【■証拠資料】 
 
 ★2011年の3月に私の給料が二重に入金されたが、
  Webでは、私の給与が3/18と3/22に振り込まれ,
  3/25に3/22の振込み分の引出の記録があった。
 ★後日、記帳すると、3/22の入金と3/25の出金はなかったことにされていた!
 
 【追記:2022.5.12】
 下記の事件でも、間違って振り込んだお金の返却処理には振込先の承諾がいるようだ。
 上記の私の口座への二重振込をなかったことにした後処理はやはり疑問に思う。
 『山口県阿武町が1世帯に誤って4630万円を振り込み、その返還拒否問題で、
  阿武町は12日、返還を求め振り込み先の男性を山口地裁萩支部に提訴した』
 
   → 【詳細別紙】

 以上


2020.5
「新実存主義」を読んで


 朝日の書評 「新実存主義 マルクス・ガブリエル」(2020.4.18)が目に留まった。

 第一次AIブームの時代に、卒業論文・修士論文(1968〜1971)で、
 デカルトの方法序説、ド・ラ・メトリの人間機械論、エンゲルスの弁証法に言及し、
 人間の思考過程をニューラルネットワークでモデル化した者として、
 また、1960年代後半の大学紛争の渦中で、実存主義に心惹かれた者として、
 この本の次のような特徴に興味を持った:

 ・人間の心とは何か、という古くて新しい問題に、正面から取り組んでいる
 ・心の動きを神経のシナプスの反応によって説明しようとするような、
  心を脳と同一視する自然科学的なアプローチを批判している

 ●興味本位のコメント →  【■詳細別紙】
 
 ★【読後感】
   私の卒業論文・修士論文における、
  人間の思考過程をニューラルネットワークでモデル化して
  コンピュータでシミュレーションするという研究は、
  マルクス・ガブリエルの攻撃対象そのものということになるが、
  もちろん、その時も今も、
  人間の心をコンピュータで解明しつくせるとは思っていない。
 
 以上


2020.3
「人工知能の今:画像認識」を読んで


 人工知能学会誌 Vol.35 No.2 (2020/3)の
 レクチャーシリーズ:「人工知能の今」〔第7 回〕の
 「応用:画像認識」(p.262〜p.270)という解説論文の冒頭に、
 『画像認識は、人間にとっては極めて簡単なタスクだが、計算機で実現するのは極めて困難』
 という表現があり、興味を持った。
 
 ・1970年ごろからの画像認識技術の変遷および最近の深層学習に基づく画像認識技術が
  わかりやすく解説されている。さらに、その問題点についても適切に指摘されている。
 
 ・特定の条件下で特定の機能を果たす画像認識技術の実用化は、工学の分野であり、
  画像の意味内容を認識・理解した人工知能を実現したか否かは重要ではないと思う。

     →【詳細別紙】
 
 以上


2020.1
善の研究とα=ω


 NHKの番組「100分で名著:善の研究」第4回(録画)の中で、以下の表現が目に留まった。
  『絶対矛盾的自己同一』
  『異なるものが異なるままで一つになること』
  『過去と未来との矛盾的自己同一的現在』
 
 その理由は、私が大学院学生の時に考案した表記【A≠Ω α=ω】を連想したためである。
 この表記は、その時期のガリ版刷りの名刺の左肩にも使用している。
  →  修士2年の時の名刺
 
 一方、私の修士論文「思考過程の数学的表現と模擬実験」(1971.3)の
 参考文献57件の17番目に「善の研究」を記載しているが、
 本文での引用がないので、どの部分を参考にしたかは不明である。
  →  17.西田幾多郎:善の研究、岩波書店、1950(原1911)
 
  そこで、今回、【A≠Ω α=ω】の考案には善の研究の読書が
 関係したかもしれないという仮説を立てて、NHKの番組
 「100分で名著:善の研究」のテキストを読んでみることにした。
 
 なお、この表記は以下のホームページで説明している
  →  {Α≠Ω|α=ω}とは?
 
 さらに、拙著「ソフトウエア危機とプログラミングパラダイム」で引用:
  →  ”あとがき”(p.236)
 
 本書の第1、2、3篇の最初の頁で背景として使用:
  →  ”ニーチェの言葉”(p.1, p.41, p.199)
 
 
  →→ 【詳細別紙】
 
 
 メールの署名にも使用:
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 中所武司 明治大学 理工学部 情報科学科 {Α≠Ω|α=ω}
 ***@***.meiji.ac.jp, 044-934-7***, http://www.***/
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